【雑想ノート】デザイン稼業のジレンマについて(仮)


Photo by State Library of New South Wales collection

最近はTwitterのログ置き場と化している当ブログですが、いちおうデザイン関係のブログ、です。たぶん。

仕事がたて込んでくると、どうしてもブログの更新は滞りがちになります。
それでなくても更新頻度は低いほうでした。
今年は「ブログではアーカイブされるような、良質な記事をじっくり書いていくんだ」なんて、誰にも言わずにひっそりと心に誓っていたのですが(言えよ)、そうなると益々更新頻度は低くなる一方。

とはいえ、最近の仕事の傾向としては、メールでやたらと長いテキストを書くことも多くなりました。
なんでデザイン稼業で長いメールが必要なのか、と思われるかもしれませんね。

今日はそのあたりのことを書いてみたいと思います。

ひとくちに「」と言いましても、グラフィックだの、プロダクトだの、建築だの、ファッションだの、いろんな「」「デザイナー」がおります。
私は主に印刷物のデザインを生業としています。
「グラフィックデザイン」とか、「DTPデザイン」とか言ってます。
余談ですが、「DTPデザイン」という呼び方はおかしい?、というエントリを過去に書いたことがあります。よろしかったらどうぞ。

【DTP】「DTPデザイナー」じゃ、ダメですか? | glad design blog 2.0

で、例えば、お店のパンフレットを作るとしましょうか。
まず、作業に入る前にクライアント(お客さん)にヒアリング(聞き取り)をします。
どんな内容にしたいですか? どんな時に使いますか? これを作る目的は何ですか? どうして必要になったんですか?
という根本的なところから、
お店に来るお客さんはどんな方が多いですか? どんなお客さんにアピールしたいですか?
といった現実的なことまで。

さらには、
具体的にこんなのがいい、というイメージに近い他のお店のパンフレットとかありますか?
というツッコんだことまで聞くこともあります。

いろいろ聞いた上で、制作作業に入ります。
最初は何もない状態から、いちから作るので時間がかかります。
最初に提示するものを「初稿(しょこう)」と言います。
私の場合は初稿は割と時間をかけるので、スケジュールもそのように調整します。

さて、作業がだいたい終了し、初稿としてまずはお客さんに提示してみて、最初にヒアリングした内容とズレていないか、方向性が合っているかを確認します。
その際に、データをメールで送ることが多い(というかほぼデータで送ります)のですが、この時のメールがやたらと冗長になってしまいがちなのです。

どうして? お聞きした内容で作りました。ご確認ください。
だけで済みそうなものですが、なぜメールの文面が長くなってしまうのでしょうか?

それは、「デザイン」に対する考え方によるとおもうのですが、
私の場合は、どうしてこういうデザインになったのか、を割と細かく、分かりやすいように、伝わりやすいように言葉を選んで書いているからです。

そもそも「デザイン」って、結果が全てじゃないの?
見せてから、説明しないといけないデザインって、それが「いいデザイン」と言えるの?

たしかに、そう思います。
説明しなくちゃ伝わらないデザインなんて、意味なんて無いんじゃないか、と。

ただ、こうも思います。
「デザイン」は「アート」ではない。と。

しかも、デザインをすることで対価(報酬)をいただいている身ですので、「商業デザイン」という言い方にもなります。
「商業デザイン」である以上、お客さんあっての商売である、と。

お客さん(例えばここではお店のオーナー)が満足しないものであれば、対価(報酬)はいただけません。
ですから、お客さんの思い描くイメージをなんとかして探り出し、カタチにすることが、私たちの仕事です。

え? 本当にそう?
お客さんが満足すれば、それは「いいデザイン」なの?

う・・・・・・・・・(^_^;A

そうなんです。ここが「デザイン稼業のジレンマ」なのです。
お客さんの言う事を聞かないでいると、OKが出ない。
しかし、お客さんの言うとおりに作るとOKは出るが結果は出ない。

例えばお店のパンフレットを作るなら、そのパンフレットの目的は「お店の売上が上がること」だと思います(そうでないケースだってそりゃありますが割愛)。
お店の売上を上げるために、どうすればいいかを考え、いろんな方策がある中のひとつとしてパンフレットの制作があるわけです。

お店の売上を上げる、というコンセプトの元に、方向性を定め、その後で初めてデザインのチカラを使って制作に入ります。

ですから、シンプルに考えると、「お店の売上が上がる」という結果を導くためにデザインするわけですから、お店のオーナーの好みは関係ありません。
お店に来てくれるお客さんはお店のオーナーの好みの人ばかりではありません。
ていうか、オーナーさんに会いに来るわけではなく、(飲食店だったら)お店の料理を食べに来ているわけです。

「お店のオーナーが満足する」の中に、「オーナーの好み」と「お店の売上を上げるというコンセプト」がごっちゃになっているケースが本当に多いです。

なぜ、デザインを提示する時のメールが長くなってしまうのか。
なぜ、デザインについて説明しなくてはならないのか。

この「ごっちゃになった」考えを整理しつつ、コンセプトが大切ですよ! という意味合いもあります。
こういう想いで、こういう考え方でデザインしました、だからこういうカタチになっているのです、と。

最初のヒアリングの時点では、オーナーの好みの話などは当然ですが、いっさいしません。
だって、関係ないですからね。

でも、作業が進むにつれて、パンフレットのカタチが固まってくると、だんだんと「欲」が出てくるようです。
最初の「コンセプト」の話を忘れたわけではないのでしょうが、なぜか「好み」を語りだします。

その「好み」が「コンセプト」と一致している場合はいいのですが、大抵の場合は全く関係ありません。
むしろ「コンセプト」を阻害するような「好み」が多いです。

オーナーさんの「好み」を否定しているわけではないです。
ただ、パンフレット制作には「必要ない」のです。

このあたりが聡明なオーナーさんだと、「ブレ」ないで、パンフレット納品まで一貫しています。
スジが通っている、という言い方がぴったり来ます。

ただ、多くのオーナーさんは、ブレます。

それはお店の責任を負っていることからくるプレッシャー、があるのだと思います。
不安や焦りから、ついあれこれと思いついたことを要求して、パンフレットに反映させようとします。

それが、逆効果であり、結果が出せないことを外部者であるデザイナーは、外部者であるからこそ、よく分かるのです。
なので、野暮だとは思いながら、メールに「デザインについてのあれこれ」を長文でしたためる、のであります。

ま、それで全てが解決するわけでもないし、「デザインのジレンマ」は相変わらず残ったまま、ですがね・・・・ふふ。

そういえば、発注がらみでこういう話がありましたね。
発注者がすべて作業内容を明記しなければいけないのだろうか:はてなダイアリー
「WEB担向け勉強会: デザイン依頼の方法論」の極私的感想 – 小さな世界

発注する側も受注する側もいろいろと問題点を抱えてるんですよね。
いつかこのあたりのことを書きたいと思います。

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