【DVD】『犯人に告ぐ』

犯人に告ぐ [DVD]


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雫井脩介のベストセラー小説を豊川悦司主演で映画化!心に傷を負った刑事と姿なき殺人犯の緊迫の心理戦を描く本格サスペンス。川崎で起きた連続児童殺人事件。〈BADMAN〉と名乗りテレビに脅迫状を送りつけた犯人は3件目の犯行後、表舞台から姿を消す。膠着した警察は捜査責任者をテレビに出演させる大胆な“劇場型捜査”を決断する。担ぎ出されたのは過去に犯人を取り逃がし失脚した男・巻島。彼は犯人を挑発するが…。

WOWOWでの放映後、劇場公開というパターンをとった本作は、確かにTVドラマっぽい作りも目につくが、サスペンスとしての緊迫感は十分過ぎるほどの出来。「ドラマでも十分な日本映画」とは一線を画する。神奈川県警の巻島警視は、少年誘拐事件の捜査で失態を犯し、左遷させられるが、6年後の連続少年殺害事件を指揮するために県警に呼び戻される。TVのニュースショーに出演した彼は犯人を挑発するような言動を放ち、マスコミの注目も浴びてしまう。犯人が世間やマスコミを観客のように操る「劇場型犯罪」とも違う、「劇場型捜査」の展開が斬新な、雫井脩介のベストセラーの映画化。
当たりハズレのある豊川悦司の演技だが、本作は完全に役にハマった成功例だろう。過去の事件で少年を助けられなかった苦悩と、自分の家庭の問題を抱えながら、体を張って凶悪犯を追いつめる鬼気迫った演技に圧倒される。TV業界のドラマはそれなりだが、警察内の人間関係に深くメスを入れた点も本作の興味深いところ。小澤征悦ら助演陣のリアルな存在感によって、警察の階級社会がシニカルに描かれつつ、地道な捜査にも驚かされる。事件現場のリアルな映像も含め、骨太なテーマが伝わってくる力作だ。

原作はこちら

原作の存在はなんとなく知っていたのですが読んだことが無く、レンタルDVDを偶然見つけて、まあ見ておくかという程度の軽いノリで借りたもの。
1年近く観ないまま放置していたのをHDDから発掘してきた。

しかしこれ、軽いノリで観るようなものではなかったです。
観るときはガッツリ腰をすえて(!?)観た方がいいです。

原作は単行本で326ページ、文庫本では上巻が326ページ、下巻が344ページという、ほどほどな長編。
これを2時間映画に落とし込んだ時点でかなりの部分を端折っているのは、原作を読んでいなくてもわかります。

主人公・豊川悦司演じる神奈川県警の巻島警視が左遷され田舎へ飛ばされますが、直接の原因となったのはマスコミ対応のまずさ。しかしなぜ巻島がマスコミ対応をさせられたのか、いまいちよく分からない。もちろん事件で犯人を取り逃がしたという失態からマスコミ対応を迫られたわけですが、それにしてもおよそテレビ向きではない豊川悦司の風貌を見ている観客からしても疑問が湧く点ではないでしょうか。TV映画的発想、と言ってしまえばそれまでなのですが、ちょっと安易というか残念な部分でした。

他にもミステリー仕立てではありますが決して「謎解き」ではないので、犯人探しをしていると肩透かしをくらいます。
本作は謎解きがメインではなく、というか謎解き要素は少なく、警察内部の人間関係の表裏や葛藤、家庭や家族と仕事との軋轢など、人間ドラマに重点を置いているドラマだと理解したほうがいいと思います。

とは言え、やはり尺に対して盛り込むべき要素が薄っぺらいことは否めず、全体に骨太感はあるものの、いまひとつ心理描写に深みが足りない(尺が足りない)感じがしてしまいました。
連続ドラマでやるには向いているネタだと思うのですが。

犯人に告ぐ 予告編 trailer


映画館で観たとしたら一般大人:1,800円のところ、評価は、

1,100円

といったところでしょうか。
レンタルで十分かなー。

書籍のほうがいいかもしれない。
犯人に告ぐ〈上〉 (双葉文庫)
犯人に告ぐ 下 (2) (双葉文庫)

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