【BOOK】中小企業向け「IT経営のススメ」推薦本 書評:『日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方』山本 敏行 (著)


日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方
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会社に電話がない。顧客に会わない。上司は怒らない。10連休が年4回。全社員にiPhoneを支給。それでも、売上が毎年140~200%で成長。そして、社員満足度日本一。
そんな“非常識で、楽しい会社”としてネット界隈では有名な”ECスタジオ“社長の山本敏行氏の著書第2弾。

日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方
http://www.amazon.co.jp/dp/4797361123/


目次

はじめに
第1章 「社員第一主義」の非常識な働き方
 社員満足が顧客満足を生む
 顧客に会わない・電話を受けない
 まず、「しないこと」を決める
 お客様は神様ではない
 給料は高く、勤務時間は短く
 社員もやりたいことをさせる
 決して怒らない
 女性社員が働きやすい職場を作る
 社員と会社の夢を一致させる
 全社員が経営を学ぶ
 社員モチベーション診断を受ける
 マズローの欲求5段階説に基づく

第2章 社員の満足度がアップする非常識な制度
 ランチトーク制度
 ゴーホーム制度
 強制退勤制度
 ノートーク制度
 アイフォーン支給制度
 遣唐使制度
 バースデー制度
 ブルーベリーアイ制度
 食券制度
 長期休暇制度

第3章 小さな会社が成功するための非常識な戦略
 波乗り戦略で時代の流れに乗る
 メディア戦略で一気に波に乗る
 差別化戦略で自社の存在価値を高める
 オープン戦略で情報をアウトプットする
 こだわり戦略で社内外にこだわりを徹底する
 学校経営戦略で将来の出口を作る採用戦略で自社にあった人財を獲得する
 税務戦略で磐石な財務基盤を作る

第4章 小さな会社の利益を増やす3つのIT戦略
 1 ウェブで売上を上げる
   ウェブサイトは24時間働く営業マン
   ウェブは中小企業が大企業と戦える唯一のメディア
   ブログ記事を継続的に投稿してキーワードの蜘蛛の巣を張る
   世界第2位の検索数のユーチューブからの流入を増やす
   ユーストリームを活用したオンラインセミナーで受注する
   ウェブサイトを継続的に改善する
   プレスリリースを打つ
 2 生産性を上げてコストを下げる
   会社の利益は時間の使い方で決まる
   仕分けを定期的に行う
   機会損失を防ぐ
   利益を生まないコストは徹底的に削減する
   仕事環境に投資する
 3 未来へ投資する
   利益を生み出すかもしれないものに投資する
   積極的に種をまく

第5章 モチベーションと利益が劇的に高まるITツール活用法
 時間を製造するITツール
 人とITも餅は餅屋
 1 業務をクラウド化する
   グーグルアップスで業務をクラウド化する
   Gメールを情報資産の倉庫として活用する
   グーグルカレンダーでスケジュールを共有する
   グーグルドキュメントをクラウド上で同時編集する
   グーグルサイトを社内ポータルサイトとして活用する
   グーグルビデオで動画を共有する
   グーグルモデレーターで社内の意見を集める
   アイフォーンで、いつでもどこでもオフィスを実現する
 2 社内コミュニケーションを円滑にする
   コミュニケーション手法を使い分ける
   直接話す・電話する
   スカイプチャットでメッセージの履歴を残す
   メールは読むだけでいい内容に限定する
   携帯メーリングリストで迅速な連絡網を構築する
   会議の参加人数は4人まで
   ツイッターで目的のないメッセージをつぶやく
 3 業務を効率化する
   デュアルモニターで40%の作業効率アップ
   イーブースターでパソコンの処理能力を高速化する
   ショートカットやタイピングで作業効率を上げる
   マインドマネージャーでアイデアや企画をまとめる
   カムタジアスタジオで動画マニュアルを作る
   プレイステーションでテレビ会議システムを構築する
   ログミーインで自分のパソコンを遠隔操作する
   チームビューアーで相手のパソコンを遠隔操作する
 4 コストを削減する
   キングソフトオフィスで1人当たり5万円のコスト削減
 5 セキュリティを高める
   イーセットスマートセキュリティでパソコン動作を軽くしてセキュリティを高める
   ログインしやすさとパスワード強化を両立するロボフォーム
 6 バックアップする
   アクロニストゥルーイメージで5分ごとに自動バックアップする
   部署単位で必要なファイルをライブメッシュで同期する
 7 ガイドライン・ルールを決める
   命名規則を統一する
   フォルダ構成を決める
   ペーパーレスを徹底する
おわりに
ECスタジオ社員の本音アンケート

まず、前提として、ITを積極的に活用してコスト削減・生産性アップを図り、強い中小企業を作る、というのが本書の目指すところであり、まったくITに興味がないような企業や経営者が読んでも分かりやすく書かれてあります。
一方でネットを積極的に利活用していて、情報収集もこまめに行っているような企業にとっては、少々物足りないかもしれないですね。
書かれていることの多くがすでにネットで公開されているノウハウだったり、ECスタジオ社内のユニークな制度であったりするため、少々新鮮味にかける面があることは否めないです。
とは言え、「大事なノウハウこそ、どんどんオープンにする」と公言しているだけあって、あまり語られることのなかった経営戦略についても書かれています。

本書冒頭でいきなり、1000人の経営者から得た企業経営のキモ・秘密の鍵を惜しげもなく公開しています。
それは、

うまくいっている経営者の話には3つの共通点があることに気づきました。その共通点とは・・・
1 社員のために自分の時間を使っている
2 社員についての愚痴や不満を言わない
3 自分の会社、自分の社員のことを楽しそうに話す
そうです。うまくいっている会社の経営者は、まず、自分の社員のことを第一に考えている!
私にとっては、コペルニクス的発想の転換で目からウロコでした。

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第1章では、ECスタジオの働き方の根本的な考え方が紹介されています。
「社員満足が顧客満足を生む」「顧客に会わない・電話を受けない」「しないこと14ヶ条」「お客様は神様ではない」など、従来の企業では「常識」であったことをことごとく看破するだけでなく、非常にロジカルに冷静に分析し、結果としてこのほうがよいと判断されたスタイルとなっています。

第2章では「全社員にアイフォーンを支給制度」や「年間140日以上・有給100%消化の長期休暇制度」など、従業員として働くにはこの上ないほどの高待遇な社内制度が紹介されています。
特筆すべきは、実際に導入し、成果が出ている制度について書かれていることです。単純な情報として紹介されているわけではなく、実際にECスタジオが実践しているということに、説得力があります。

第3章では、ECスタジオオリジナルの「戦略」について。
IT経営を標榜しているので、ITの最先端であるシリコンバレーへ直接乗り込み、現地で最新の情報を入手、日本へフィードバックする「波乗り戦略」などは以前から多くの企業がやってきた手法ではありますが、多くは大規模な企業がコストをかけてやってきた手法でもあります。しかし、現在では小規模な企業であっても、低コストで情報を仕入れることができますし、急激な業界の変化にも小規模であれば小回りが効くので対処がしやすい、という発想の転換で乗り切っています。

第4章では、ITを使った実践的な活用例を紹介しています。
意外だったのが「世界第2位の検索数のユーチューブからの流入を増やす」という項目。
YouTubeがそんなに検索数があるとは知りませんでした。
ECスタジオではあらゆる場面で「動画」を積極的に活用し、コスト低減、時間節約を実現しています。

第5章では、さらに具体的にITを活用する術を紹介しています。
単純に「こういうツールを使えばラクですよ」というものではありません。生産性アップという視点で、全ての人間に平等に与えられた「時間」を管理する、もっと言えば「時間を製造する」ツールとしてのITを積極活用しましょう、と提唱しています。
ここでのキーワードは「無料・低コストのツール」「クラウド化」です。
ECスタジオは日本で最初のグーグルアップスの代理店ということで、グーグルの無料サービスを徹底的にしゃぶりつくしています。クラウド化とは、情報やデータをクラウドに預けておいて、いつでもどこでも参照・編集できる状態を構築しておく、というものです。
利益を生むかもしれないものには積極投資して、それ以外は徹底して削減する、という姿勢が貫かれています。

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全体を通して、もっとも気になるのは「社員満足が顧客満足を生む」という最初の項目。
社員満足度については第三者機関によって客観的に評価(リンクアンドモチベーションでの調査)されており、本書のタイトルにもなっているとおり、社員満足度2年連続日本一に輝いています。しかし、その先、社員満足が達成された会社が提供する商品・サービスを購入した顧客が、どの程度満足しているのか。顧客満足が生まれているのかどうか、については本書には書かれていないのです。
マーケティング的にはいわゆる「お客様の声」をウェブサイトやチラシに掲載するのは今や定石となっています。「社員満足が顧客満足を生む」と言うからには、「お客様の声」が無いとロジカルに評価できないのではないでしょうか。本書で唯一違和感を覚えた点でもあります。

次に着目したいのは、「差別化戦略で自社の存在価値を高める」という点。
文字列だけを見ると、とてもまともなことです。まったく非常識じゃない(笑)
非常識じゃないのに、多くの企業ができていない項目でもあります。

差別化戦略といっても、2種類あります。
ひとつは、独自開発したサービスや商品を売る場合、他社が手がけていないもの、市場にまだ無いものをリリースすることが大切です。競合他社がいない状態=ポジショニングと言いますが、いかに「競走しないか」が大切なのです。
もうひとつは、他社と同じ商品・サービスを代理店として販売する場合、顧客にとって提供されるのは同じ商品・サービスですので、いかにして自社を選んでもらうかが重要です。そこで差別化するには徹底的にITを活用、自動化できるところは徹底して自動化し、スピードとコスト削減を同時に実現し、低料金で提供できるのです。

これは私が提供している「ペルソナ名刺」でも同じことを想定しています。
他社とのポジショニング=いかに競走しないか、を目指すための名刺仕様と掲載内容のボリューム。
自社を選んでもらうためのストーリーなど、随所に仕掛けを施しているのです。

また、名刺によるブランディングについては、先日の記事「【Ust】名刺の達人:高木芳紀さんによる『最強のコミュニケーションツール「名刺の作り方」セミナー』 | glad design blog 2.0」でも紹介したように、名刺の達人・高木芳紀さんも同様のことを語られています。まだ見ていないという人はぜひ今すぐ見てください。きっとお役に立ちます。

さらに言うと、「はじめに」内で書かれている山本社長の「等身大」のヒストリーにも仕掛けを見ることができます。
もともと体育会系で格闘技好き、ITには縁の無い人生を送っていた山本社長ですが、弟さんの影響でインターネットに衝撃を受けます。その後渡米し、アメリカで起業。売上至上主義でイケイケドンドンで社員をこき使う経営者としてビジネスを拡大するも、社員が疲弊し、どんどんと辞めていく・・・。悩み、腹をくくった山本社長は他社1000人の経営者に体当たりで経営について教えを請うという荒行を行います。そしてついに秘密の鍵・社員満足こそ経営の真髄、と開眼するのです。

こういったストーリー展開がまさに「ハリウッド式黄金律のストーリー展開」なのです。
◎何かが欠落した・させられた主人公が、
◎何としてもやり遂げようとする険しい目標・ゴールへ向かって、
◎様々な困難・葛藤・苦悩・挫折・敵対するものを乗り越える
というもので、感動を呼ぶ3つの要素、「人類共通の感動のツボ」と言われています。

本書の山本社長のストーリーもおおむねこの黄金律に沿ったものとなっているので、読む人に親近感を沸かせ、書いてある内容に安心感を持たせることに成功しています。

ただ、惜しいというか、敢えて書かなかったのか、分かりませんが、売上主義で突っ走っている時期にどんどんと創業メンバーの社員が辞めていったとき、それまでのやり方を捨て、1000人の経営者に教えを請う、という道を選んだわけですが、そこに至る過程でもうひとつ、ふたつ、エピソードが隠れている(隠している)のではないかな、と思いました。そのあたりは次の著書に期待してもいいのでしょうかね?

本書の目的が「IT経営のススメ」であると仮定すると、山本社長の人間味のあるエピソードや、もっと詳細な組織マネジメントに関する記述が削られていたとしても不思議ではないのですが、やはりそこが一番興味をソソラれる部分でもあります。

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ここからは推測でしかありませんが、ECスタジオ躍進のカギはこういった「情報に対してオープンな姿勢」ではないでしょうか。

自らの情報をオープンにするためには、まず、自社の強みを徹底的に知り尽くすための作業(自社の棚卸し)があったのだと思います。
自社の強みを知り、やるべきこと・やらないことを決め、市場でのポジショニング(=いかに競走しないか)を行う。
それを支えるための「社員満足」であり、それが「顧客満足」につながる・・・・。

「自社の棚卸し」から「競走しないためのポジショニング」などは、最近特に脚光を浴びているドラッカーのマネジメントに関する考え方にも通ずるような気もします。(と言いつつドラッカーについてはまだよく分かっていなかったりします、私)

とにかく、中小企業がとるべき進路がわかりやすく示された、好例としてとらえることで、未来への希望が垣間見える良書と言えるのではないでしょうか。

まずはひとつでもふたつでもいいので、本書に書かれてある策を実践してみる。成果が出れば続けていき、新たな策にチャレンジする。頭の硬い上司や経営者であっても、簡単で分かりやすい平易な文体で書かれてあるので、読みやすいですし、ちょっとやってみようと思わせる柔らかさがあります。

ぜひ「参考になった」「気づきがあった」「面白かった」という感想だけでなく、自分で考え、自分で実践してみることが最も大切です。

失敗なきを誇るなかれ、必ず前途に危険あり。
失敗を悲しむなかれ、失敗は成功の母なり。
禍を転じて福となせば、必ず前途に堅実なる飛躍がある

– 本多 静六 –

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