【BOOK】『強く生きるノート』lecture 2-1 感情をコントロールする方法(小池龍之介)

強く生きるノート 考え方しだいで世界は変わる (KEIO MCC Intelligence Series)
本田 直之 ちきりん 小池 龍之介 平田 オリザ 竹中 平蔵 原田 泳幸 村上 憲郎
講談社
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複数の著者によるオムニバス形式のビジネス書。
どうやって生きるか、の前にどう考えるかのヒントを、多様な視点で切り取ったものになっています。
【BOOK】『強く生きるノート』lecture 1-1 常識という名の「7つの制約」に縛られない生き方(本田直之)
【BOOK】『強く生きるノート』lecture 1-2 「自分のアタマ」で考えるために(ちきりん)


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lecture 2 「心」とどう付き合うか

1-2 小池龍之介 氏(月読寺・正現寺住職)

感情をコントロールする方法

(1)まず、感情を隠していることに気づく

ほとんどの人は、無意識に自分の本当の感情を覆い隠している

多くの人は「自分は自分を「知っているつもり」の人」であるという。
通常は自分の心の中で考えていることは、自分のことなんだから
自分でコントロールできる、と思っているが、
実はそうではなく、それらは自分のことではないのだというのだ。

しかも、心だけでなく、身体すらも。
「自分の心も身体も自分のものではない」
これはいったいどういうことなのか。

人は誰でも、自分のことを良く思われたい、尊敬されたい、と思っている。
つまり、自己イメージは美化されているということ。
そのバイアスが自分の心や感情を隠してしまっているのだという。

だが、自分を良く思うことは自然なことでもある。
別に恥じることはない、誰だってそうなのだから。

ここで何が大切なのかというと、そういうふうに自分の感情は無意識に隠されている、隠している、ということに気づくことが大切なのだということだ。

そのためには「自分をあるがままに感じること」が必要である。

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(2)本当の感情を観察する

お母さんが赤ん坊をあやすように穏やかに、科学者が実験過程を観察するように冷静に、自分を支配している感情を見つめる

あるがままの自分を観察するためには、冷静に客観的になる必要がある。
ある意味、超越的な自分が現在の自分を見るように。

「超越的な自分」というのは、「メタ認知」のことを指している。
メタ認知とは、客観的に自分を認識すること。
これには2つんポイントがあるという

1)自己否定しない

2)冷静に客観的に

よく言われるのは、幽体離脱した自分が頭の上の少し後ろのあたりから自分を眺めている様子、である。

メタ認知力がある人というのは、自分で自分のことが分かっている人、ということだ。
社会人になって、この「メタ認知」ができない人ほど「イタイ人」はないと思う。
つまり、自分で自分のことが分かっていない人は、
自分が何を得意としていて、何が苦手なのかがわかっていないということなので、
結果的に仕事ができないし、任せられない、ということになる。

負の感情は「完全燃焼」させれば、消えて無くなる

例えば何か嫌なことがあったときには、自分を冷静に見つめて、
「ああ、今、嫌な気持ちになっているな」と繰り返し唱えることが有効だという。
すべてを吐き出す=完全燃焼 ということだろうか。
自分の感情をあるがままに受け入れ、言葉にすることで、
やるべきことや目の前のことに集中できる、ということもある。

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(3)執着しない・あるがままを受け入れる

「あるがままを見つめる」という、自分の心を客観視するクセをつけると、いつでもクリアな気持ちに戻ることが出来る

仏の道には「三毒」というものがあり、
「貪欲」「怒り」「無知」がこれにあたる。

1)貪欲

「貪欲」とは際限なく「求める」気持ち
あれもこれも欲しい欲しいと考えるのではなく、
自分の「適量」をわきまえておくことが大切。
→ 執着しないこと、で対処

2)怒り

「怒り」とは「受け入れたくない気持ち
他の人の成功を受け入れたくない(これは嫉妬)、
自分が寂しいことを受け入れたくない(これは孤独)、
という気持ちを指している。
→ あるがままを受け入れること、で対処

相手を「不快に感じる」ということは、
その人の中に「あなた自身」を見ているからだ、という。

「人のふり見て我がふり直せ」
というのは理にかなった言葉。
他人はまさしく自分をうつす鏡である。

人間の脳は、他人の中に無意識に抑圧している自分を見たとき、
怒りがわいてくる、という造りになっているらしい。
なるほど、これは非常に納得できる。
息子を見ていて態度が悪いとすぐに叱りたくなるのはそのせいか(笑)
息子の悪い態度の中に、無意識に抑圧している自分を見たということは、
無意識にそういう悪い態度をとりたい、なのにとれない自分がいるということかw

「怒り」がわいたとき、
「ああ、怒っているなあ」とあるがままを観察すること。
そうしてひたすら自分のあるがままを観察していると、イライラが消滅していく、という。

さらに、「怒り」がわいたとき、心の中で「いち、に、さん」と数えると、冷静になれる。
このあたりは「アンガーマネジメント」とも言われ、最近広く知られるようになっている。
アンガーマネジメントでは「6秒ルール」が有名ですな。
アンガーマネジメントで学ぼう!カンタンにできる怒りやイライラのコントロール術 | ナースが教える仕事術

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(4)目の前の人・状況に集中する

その瞬間ごとの状況や感覚そのものに意識を集中すると、迷わない心を手に入れることができる

3)無知

三毒の3つ目は「無知」。
「無知」とは「迷い」の気持ち。
自分や他人に対して鈍感になっていて、目の前のことに集中できず、
正しい判断ができない状態が「迷い」だという。
→ 目の前にただ集中すること、で対処することが大切。

人の「感情」というものは、瞬間瞬間で移ろいゆくもので、常に変わっているのだという。
だから、ずっと悩み続けたり、ずっと悲しみ続けることはできないのだと。
よく「時間が解決する」という言葉があるが、まさにこういうことだろうか。

感情とは、自分の外からの刺激に対して反応しているだけで、
もともと自分の中にあったものではない、だからあなた自身ではないのだ。
あなたの本質ではないのだ。

だから、できるだけ、「自分」と「感じていること」を切り離すことが大事。
ここでもやはり「メタ認知」力が必要ということだろう。

そして、「性格」と呼んでいるものは、実は刺激がパターン化しただけのもの、とバッサリと切り捨てている。
もちろん、生まれつきの性格、というものもあるだろうが、
仮に遺伝が50%としても、残りの50%は後天的な環境要因であろう。

だからこそ、「今、ここ」から「あるがまま」を受け入れ、ポジティブな感情を増幅させることが大事になるのだ。

そして、自分の心を客観視するクセをつけると感情をコントロールできるようになる、という。
苦しみから逃れる方法として、

「今、ここ」に集中し、相手から意識を離して自分の内面に向け変えよう

と説いている。

「やりたい、やりたくない」という感情に支配されるのではなく、「今は何をやるべきか/やらないべきか」

という考え方にチェンジする必要があるのだ。

こうやって、目の前のことに集中し、没頭して取り組むことで、
だんだんと感情が安定してくるという。
感情をコントロールするには「目の前のことに没頭すること」が大事なのだ。

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