【BOOK】『ミッドナイトジャーナル』本城雅人:著 嘘を見抜く目、嘘をつかない矜持
「それはジャーナルなのか?」
忙しさで目が回る毎日の中で、いかに芯に情熱を持ち続けることが出来るか、お前にはそれがあるのかと問われている気がした。
他紙に抜きつ抜かれつするスクープ合戦は、時として上司の命令に背かなければ得られないこともある。
中央新聞さいたま支局の関口豪太郎は連続少女連れ去り未遂事件を取材する中、七年前の連続幼女誘拐事件での誤報を思い出す。
単独犯で結審したが実はもうひとり共犯者がいるのではないかと気づいていたにも関わらず、報道しなかったことで次の事件が発生するのではないか、という焦りが連日の取材の疲れを倍加させる。
新聞記者と警察官の欺し欺される夜討ち朝駆けの取材攻防。
元新聞記者の著者ならではの圧倒的にリアルな現場のやり取りに隠された、犯人への怒りと組織の論理との間に揺れる葛藤が、読む者の胸を討つ。