※「ペルソナ名刺」サイトに書いたコラムを再掲しています。
あなたのファンを創る パーソナルブランディングツール ペルソナ名刺 | glad design
#004 「ペルソナ名刺」と「言霊名刺」
photo by The Next Web
ペルソナ名刺を作るにあたって、参考にさせていただいた書籍があります。
こちらの書籍です。
最初にこの本を読んだ時に感銘を受けました。
頭の中でもやもやとしていた思いや断片的に捉えていた事柄を
分かりやすい平易な文体で表現してあったからです。
著者の中野さんの経歴を見ると、グラフィックデザイナーで30代で上京され、子どもと家のローンを抱えつつ、仕事は減る一方・・・。
今の自分の境遇とほぼ同じような過去をお持ちの方のようです。
ただ現在では書籍を上梓、日々講演で飛び回るという大活躍ぶり。
こんな人生の先輩なら、学べることも多いだろうと思い、 早速本の内容を実践してみたのです。
自分自身の強みは何か
photo by juhansonin
本ではまず自分自身の強みは何か、
自分と向き合うことが重要だと書いてあります。
実はこの本に出会うまでに、私自身は自分の強みは何かを考え、
ある程度の答えを見つけたつもりになっていました。
私の一番の強みは
「あるものに対する断片的な情報を整理編集し、
カタチにするスキル=広告作りのスキル」だと考えています。
これは今でも変わりませんが、
この強みをどう活かしていくか、を悩んでいました。
今までと同じように下請けで外注として制作会社からの「おこぼれ」をもらう、という仕事の進め方では現状打破できないと考えてはいました。
ぼんやりと考えていたのは、
企業や商品の広告と同じように、
個人にも広告があっていいはずだ、ということ。
その広告を作る場面で、
自分のスキルが活かされるのではないか、ということ。
そして個人の広告というツールに一番ふさわしいのは
「名刺」ではないか、ということ。
この点はまさに中野さんの書籍に書かれていることに近く、
自分の考えた方向は間違っていなかったと確信しました。
ただこの書籍の凄い点は、この考え方を明確に、
さらに整理されて書かれていたことです。
私は考え方の方向は合っているので、
あとはどうツールとして使えるものにするか、
という点で考えを深めていきました。
そしてまず、この書籍にある「言霊名刺」を
そっくり真似して作ってみました。
自分の強みを知る、理想のお客様像を作る、
細かい個人情報を載せる、苦労話をベースとしたストーリーを練る・・・。
ひとつひとつを頭を絞るようにひねり出していきました。
自分のことは自分ではよくわからない
photo by AndYaDontStop
そうして実際に自分の名刺を作ってみて、気づいたことがあります。
それは「自分のことは自分ではよくわからない」ということです。
自分自身を振り返るとき、苦労したことや挫折したことがあって初めて今の自分が創られている、と思うのですが、それを文章にしようとしたとき、自分でブレーキをかけてしまうのです。
それは、苦労を苦労として認めたくない、挫折を挫折として認識したくない、そういう思いが頭をよぎるからだと思います。
私たちは普段、前向きに生きようとするあまり、苦労した経験や挫折した心の傷をネガティブなものとして封印したがるのではないでしょうか。
ネガティブなものに蓋をして、何食わぬ顔をして生活していかなければ、現代は生きにくいのかもしれませんね。
そうした「ブレーキ」を「自分で」外すのはとても骨の折れる仕事です。
そこで、実際に自分の強みを見つめ直す際には、周りの仲間数人にアドバイスを求めました。
「俺ってどんなところが強みなんだろう?」
友人たちからは自分でも想像していなかった意外な意見をいくつも聞くことができました。
このことから、「自分が思っている自分」が、必ずしも「他から見た自分」とは一致しない、ということが分かりました。
名刺作成をビジネスに
photo by Generationbass.com
そうして真似して作っていくうちに、
この名刺作りをビジネスとして取り組んでみたい、
と思うようになりました。
デザインやライティングに関しては
これまでやってきたことが活かせます。
ヒアリングに関しては、
個人の方からプライベートなことまで含めて
根掘り葉掘り聞いていく、という経験はほぼゼロでした
(コンサルタントではないので)が、
広告作りで企業担当者から商品の説明を受けるときと同じように、
先入観無しでそのまま、
その人の人となりを受け止めていくことにしました。
そもそも「デザイン」とは
photo by Jeff-Frost
商品の新発売告知や新しいサービスのスタート広報、演劇や映画のパンフレット、旅行パンフレットや小規模小売店向けの機関誌など、私はこれら全てを広い意味で「広告デザイン」と捉えて取り組みます。
そもそも「デザイン」とは、いったいなんなのでしょうか。
広告クリエイティブ業界はもとより、今や一般ビジネスピープルの間でも知らない人はいないくらい有名な佐藤可士和さんは、
デザイナーは医者である、と例えていらっしゃいます。
患者=クライアントが訴える病状=状況を聞き出し、
診察=分析し、適切な処置=クリエイティブを施す。
その際、目に見えるカタチにする時にデザインのチカラを使いますが、全体を通してほとんどが「コミュニケーションコンサルタント」と言ってもいいようなそれがデザイナーである、と。
見た人がおっ、と振り向くようなインパクト、
全ての情報が整理され、編集され、読みやすく、
記憶に残りやすいレイアウト、
読んだ人がイメージしやすい短くて明快なテキスト。
これらは広告を作っていくスキルとして欠かせないものであると考えています。
私はコンサルタントではなく、あくまでもデザイナーであるという立ち位置を動くつもりはありませんでした。「でした」という過去形は間違いですね、動くつもりは今後もありません。
デザイナーとしてのスキルはそこそこあると思っていますが、コンサルタントのスキルは持ちあわせていないのです。
もしも、お客様からコンサルティングをお願いされたら、最大限のサポートはさせていただきますが、やはり本職のコンサルタントのようにはうまくアドバイスはできないでしょう。
(コンサルティング、カウンセリング、コーチングの違いは微妙にあるのですが、またそれは後日書きたいと思います)
デザイナーとして、情報を整理し、編集し、「軸」を求め、目に見えるカタチに落とし込んでご提案する。
それが私にできることであり、それ以外を(出来もしないことを)無理にご提供することは、逆に誠意がないとすら考えています。
模倣は最大のリスペクト
photo by Gabi Agu
そうした考えからスタートさせたのが「ペルソナ名刺」です。
カタチは中野さんの「言霊名刺」と同じ、
折りたたみ型8面名刺のままで踏襲しました。
この点で悩みもありました。
見た目もコンセプトも「言霊名刺」の真似じゃないか、 と言われると、たしかにかなりの部分を真似しているからです。
私の中では「模倣は最大のリスペクト」であり、
カタチを真似て、利益を掠め取ろうという気持ちなど まったく無いのです。
ただ、その気持ちを証明する手だてがないのです。
カタチやコンセプトを変えようにも、
盛り込みたい内容を考えるとこのサイズが最適です。
それだけ「言霊名刺」の完成度が高いということでしょう。
「模倣する」ということ
photo by Brandon LLW
私は「模倣する」ことがすべて悪いことだとは思いません。
人類は古代から、他人が作ったものを模倣することからスタートして、それを土台にカイゼンを重ねて、新たなものを作ってきました。
1769年、蒸気自動車が発明されました。
現代では数えきれないほどのメーカーが自動車を生産しています。
1903年、ライト兄弟が飛行機を発明しました。
現代では数えきれないほどの飛行機が世界中を飛び回っています。
1969年、UCC上島珈琲が缶コーヒーの販売を始めました。
現代では日本のどんな田舎に行っても自販機で買えるほど普及しています。
私も「言霊名刺」を模倣することからスタートしました。
そしてカイゼンを重ねて、より有益なものを産み出していきたいと考えています。
「ペルソナ名刺」は「個人の広告」
photo by Tony the Misfit
「ペルソナ名刺」と「言霊名刺」の最大の違いは、
「ペルソナ名刺」はあくまでも「個人の広告」であり、
その「個人の広告」を使って、その人自身がどのように事業を発展させるのか、 大げさに言うならば、その人(会社)の命運・社運はその人次第である、と考えている点。
「その人次第」というと冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、その人が情熱を持って取り組んでいる事業であればあるほど、事業展開のイニシアチブは常にその人本人が握っているべきで、外部である私は、最大限のサポートはできますが、 肩代わり(責任をとること)はできない、という考え方です。
「言霊名刺」の場合は、中野さんのお人柄もあるでしょうが、徹頭徹尾、面倒をみる、という姿勢が感じられます。(これはあくまで私の主観です)
そうした考え方の違いがありつつも、自分の強みを活かして貢献したい、その思いからビジネスとして展開を進めていきました。
専用サイトを作り、ブログやTwitterで告知を開始しました。
何度か告知をしていくうちに、前述の書籍の著者、中野さんの耳にも入ったようで、 Twitter上でやりとりをするうちに、一度、お会いすることとなりました。
Twitterでの発言を見ていると、あまりよくは思われていらっしゃらないご様子。
やはりお叱りを受けるのだろうな、という覚悟で中野さんの事務所へお伺いしたのでした。
(コラム#005へつづく)
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
興味を持たれた方はどうぞお気軽にお問い合せください。
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