【BOOK】優先順位をつけるということは、人生を「最適化」するということ『優先順位の付け方を学ぼう』

Image by Kasper Bertelsen via Attribution Engine. Licensed under CC0.


優先順位のつけ方を学ぼう 1コインキンドル文庫 | 勝間和代 | リーダーシップ研修 | Kindleストア | Amazon


時折感じる「この人、優先順位がつけられない人なんだなー」という感覚がある。
ここで言う「優先順位」とは、シンプルに「物事を処理する順番付け」という程度の意味だ。
仕事だけでなく、単純な「作業」とも言えるレベルのことでさえ、「こうしてああして、そのあとこうすれば、だいたい処理できるよね」ということは、私などは割りと簡単に思いつく(ほうだと思う)のだが、これができないという人が意外と多い。
この「優先順位の付け方」というものの正体を因数分解してくれるのが本書である。
本書は勝間和代さんの「ワンコインキンドル本」として刊行されたものだが、現在(2017年1月7日時点)では購入することができなくなっている(私は数年前に購入した)。
もともとはメールマガジン(サポートメール)での内容を抜粋し、まとめたものらしいが、詳細は私はわからないので割愛する。

人生の「最適化」方法

本書を読んでの感想を端的に言えば「優先順位をつけるということは、人生を「最適化」するということ」なのだ、ということ。
優先順位をつける、ということはすなわち、何が重要で、何を先にやらなければならないか、を決定していくこと。
TO DOの重要度と優先度を把握することだと思うのだが、大切なのは「考え続けること」だという。
考え続けること、つまりPDCAサイクルを回し続け、常に自問自答し、常に改善を重ねていくことだ。
そう書くと、簡単そうだが、簡単ではないのは多くの人が優先順位付けが出来ていないことからも分かる。

なぜ、簡単ではないのか?

Image by Joelle Parenteau via Attribution Engine. Licensed under CC0.

スキルが必要なのに、意外と教えられていない分野

それは、トレーニングする機会が無かったからだという。

時間管理の方法や、目的と手段の関係などで悩んでいる方が散見され、その中での共通の理由というのは、やはり 「優先順位」

最も守るのが難しいものは、第三の習慣である 「重要事項を優先する」=Put First Things First という結果が出ています(中略)
ではなぜ、この優先順位のつけかたが意外と難しいのか。それは、みなさん 「優先順位をつける」 ということについて、勉強していないからです。

優先順位の付け方はシンプル。

1.自分の目的を定める
2.目的に必要な手段を洗い出す
3.現在、自分の余裕(使えるリソース)を洗い出す
4.3の制約条件において、同じリソース(時間、お金、人脈など)を使った際に、もっとも1が達成しやすい2を選ぶ
 → まさしく、ここだけが、みながイメージしている優先順位付け
5.PDCAサイクルを回して、自分の1~4が正しく回っているか、レビューする

これの繰り返しだという。
しかし、多くの人は、まず1の目的がブレていたり、2の洗い出しも不十分だったりする。
多くの人が優先順位をつけるということを4だと思っている。

では、どうすればよいのだろうか?

Flying Into The Sun by Tommpouce via Attribution Engine. Licensed under CC NC.

もっとも貴重なのは意志の力

その前に、なぜ優先順をつけることが大事なのか。
それは人生において、やりたいことがすべてできるわけではないから、重要度や優先度が高いことからやらなければ、時間がいくらあっても足りないから、と想定できる。
では、どうやって優先順位を見極めていくのか。
それには、

時間以上に貴重なのが 「意志の力」

だという。
意志の力といえば、ケリー・マクゴニガルさんのベストセラー「スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)
」が有名。

意志の力がすぐに切れてしまうから、意志の力だけでものごとをしようとすると、なかなか長続きしない

「意志が強い」と自覚している人ってほとんどいないと思う。
大抵の人は「自分は意思が弱い」と思っているはず。それなのに意志の力だけでなんとかしようとしてしまう・・・。確かに耳が痛い・・(笑)

意志の力だけでは、長続きしない。しかし、意志の力をまったく使わないわけにもいかない。バランスが大事。

つまり、意志の力を使わなくてもいいものは、優先順位付けが必要ないのです。私たちが靴を履くときに、右から履くときが優先か、左から履くときが優先か、なんて考える人はいないですよね? 意志の力を使わなくても、靴が履けるからです

つまり、無意識下で行えることには意志の力は必要ない。確かにその通り。逆に言うと、無意識下で行えることはすでに優先順位付けが行われている、と考えることもできそう。そこまで行ってしまえば、次のアクションに進んでもよいということだろう。

私がイメージする優先順位とは、無意識が自動運転している 「私」 という存在に対して、ちょっとだけ、舵取りをして、エンジンをふかして、そちらの方向に自分という船をもっていくための方法です。だからこそ、その舵取りの方向の先の先には、 「目的」 という島が見えていないといけません。

なるほど、これは分かりやすい。自動運転というイメージ。

私は船もたまに操縦しますが、船は舵を間違えて、ほんの少しでも角度が違うと、まったく違う場所に行ってしまいます。それが、車のように道があったり、電車のようにそもそも線路や駅があったりする乗り物との大きな差です。

子供のうちは電車や車でルートがなんとなく見えていたが、おとなになると道すら見えなくなる。だから自分で舵取りが必要ということか。
さらに、

ルーティンと言われていますが 「意志の力」 を使わずに、高いパフォーマンスを達成するための一連の動作です。

ここ1〜2年のバズワード「習慣化」がここにも出てきている。
最初は意志の力を最大限に高めて、続けていく、だんだんと慣れてきたら意志の力は必要なくなる、そうなるまで続ければそれが習慣化されたこと(=ルーティン)になるという構図。

Yvr Knot by Ecstaticist via Attribution Engine. Licensed under CC BY-NC-SA.

人によって優先順位は違う

優先順位付けの難しさの原因のひとつとして挙げられるのは、人によって違うという点だろう。

1.人生の目的がそれぞれ違う
2.その目的を達成するためのさまざまな手段について、必要な意志の力が違う

だからこそ、大事なのは「自分で考える」「自分で決める」ということ。
ここは決して人任せにしてはいけない部分。

自分で優先順位をつけて、そこからその成功体験や失敗体験を学び、次の優先順位付けに活用するというPDCAサイクルを自分の視点、判断から行い続けないと、あなたの優先順位付け能力は一向に高まらない

優先順位付けというのは、典型的な 「自分でものを考える習慣のスキル」

自分の頭で考えない人は他人の目を中心に物事を見ているので考えられないのだという。
人気ランキング、人からの評判を気にしすぎる人が陥りやすい。
以前紹介した書籍「4つのタイプ コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる
」(=記事=【BOOK】「コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる4つのタイプ」コミュニケーション別コーチングの目からウロコの考え方)でいうと、サポータータイプの人が当てはまるのだろう。
サポータータイプの人は、合意形成できないと行動しないし納得しないので、他人の意向や他人の考えに迎合しがちな傾向がある。

【BOOK】「コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる4つのタイプ」コミュニケーション別コーチングの目からウロコの考え方


-何の目的を達成したいのか -その目的達成のために、自分が最小の努力で最大の成果を上げられるところはどこか

-いま、何が短期・中期・長期の目標なのか -それを達成するために必要なリソースは何か -スキルやお金、時間が不足している場合には、どうやってそれを手に入れるか ということを考えるべきです。

常に「それは何のためにやるのか」を自問し続ける必要がある。
そのうえで、他人とは違う、自分自身で答えを出していかなければならないのだ。
他人とは違うので、やり方も他人とは違って当然。
その際、できるだけ「ラク」にできる方法でいいという。

優先順位をつけるときには、基本的には自分が得意な方から行ってください。不得意な方は、どうしてもそれをしなければ目的を達成できないときに考え、かつ、その場合も、できる限り人の力や、お金の力を使って 「レバレッジをかける」 方法を検討してください。決して、不得意なことを自力だけで達成しようとしてはいけません。

Image by Samuel Zeller via Attribution Engine. Licensed under CC0.

目的と手段の考え方

他人とは違う、ということは自分ひとりで考え込まないといけないのだろうか?
ひとりで孤独に考え込んでしまうと、目的と手段がごっちゃになってしまう、という人も多いようだ。

目的のために手段を選んでいたのに、そのうち、手段だけが先走ってしまうときにはどうしたらいいのか

コレの答えは明快である。

「適切な指導を受けながら、効果測定をすること」 に尽きる

つまり、一人ぼっちで考え込んではいけないのだ。
さらに、

「手段を目的にしないためには、進捗状況の見える化が重要」

という。
本書では取り上げられていないが、進捗状況の見える化には「記録・メモ」が有効ではないかと考えている。
メモと記録だけでストレスフリーな毎日を続ける仕事術 マニュアル通りじゃないから続けられるタスク管理のコツ26箇条 (impress QuickBooks)
」や「大事なことはすべて記録しなさい
」「90日書くだけダイエットダイアリー ―3ヵ月つけるだけでやせる!
」などさまざまな「記録・メモ活用法」が謳われていることからも分かるだろう。
その上で、常に「目的」を意識すること。

手段に過度に囚われないようにするためには、やはり、 「この手段は何のために行っているのだろう」 という目的意識を常に明確にして、その目的に近づいているかどうかを自分で確認するクセをつけること

一人で考え込むのではなく、きちんと記録をとりつつ、常に俯瞰してみること、分からなければ周りに聞いてフィードバックを得ることが大切なのだ。

We Love Jump by Roberto_ventre via Attribution Engine. Licensed under CC BY-SA.

自分1人でするやり方には限界がある

優先順位付けが苦手な人には傾向があるという。

優先順位付けの下手な人の大きな特徴は 「抱え込みすぎ」

なんでもかんでも一人で抱え込んでしまって、挙句に身動きできなくなってしまう、という人、たまにいますね。
私は若い頃こそ、なんでも自分でやりたくて仕方がなかったが、今はもう、面倒くさいことから積極的に周りにまわしてしまうようになったので、ある意味では「イシュー」にこだわるようになってきた、とも言えるかもしれない。
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
そういう意味では、自分の力というものを、ある程度は俯瞰して見れるようになってきた、とも言える。

その抱え込みすぎの背景にあるものは、実は 「自信過剰」 なのです。すなわち、自分の実力以上に自分はできると思っているから、どんどん、計画を立てて、やろうとしてしまいます。

若い頃は根拠のない自身に満ち溢れていたことの裏返し、ということか。
しかし、それではいけない。積極的に周りに働きかけていかなければならないのだ。

一人で続けていると、 PDCAサイクル が働かなくなり、どんどん独りよがりになり、いわゆる目的と手段の混同が始まります。

ひとりでは、どうしてもタコツボ化してしまう。

優先順位付けの下手な人は、概して、人からの意見を聞かないし、聞こうとしない人です。

頑固で自信過剰、人の意見に聞く耳を持たない。よくよく考えると最悪である(笑)

Image by Vilyana Ivanova via Attribution Engine. Licensed under CC0.

成果の計り方

ここまで読んでいくと、一人で抱え込まずに、積極的に周りにフィードバックをもらいながら、コツコツと習慣化を積み上げていく。
そんなスタイルがイメージできるようになってきたところ。
意外にも、こんな記述がある。

「コツコツとやっていれば、いつかは成果が出る」 は私は、わりと 「ウソ」 だと思っています。

なんと、コツコツを否定している(笑)
どういうことなのか?

優先順位をつけるということは、 「自分の時間のレバレッジを効かせる」 ということですから、期待成果が小さいものにコツコツと時間を投じても、いつかは成果が出るかもしれませんが、その間にやる気が続かなくなってしまう

なるほど。これは目からウロコ。
しかし、期待成果が大きなことを見極める、というもの難しそうな気もする。

どうやって、成果が目に見えて現れるように優先順位をつければいいのか。答えは簡単です。 -やり方をひたすら工夫すること -すでにやり方を知っている人から習うこと

やはりここでもPDCAサイクルを回す=常に工夫、試行錯誤を続けること、そして周りにフィードバックをもらうことが大切ということか。

Hold My Hand by I Got Bored With My Screen Name via Attribution Engine. Licensed under CC BY-NC-SA.

それでも続けられる方法を考える

私はなんだかんだいっても、「優先順位付けをするということを意識し続けること」 が最も重要だと考えています

結論としては身も蓋もないが、常に優先順位付けを意識することだという。
ダラダラとテレビを見るとか、目的もなくネットサーフィンするとか、そういった無駄な時間をできるだけ少なくすることから始めよう。
決して、休まないという意味ではなく、むしろ積極的に休息を取り入れながら、やるべきことを見極めてやる。
そうありたいと強く願った。

大事なことはすべて記録しなさい
ダイヤモンド社 (2015-04-13)
売り上げランキング: 151,865

4つのタイプ コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2014-08-01)
売り上げランキング: 51,565

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版
売り上げランキング: 706

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)
ケリー・マクゴニガル
大和書房
売り上げランキング: 1,284

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください