【BOOK】『あしたの君へ』柚月裕子:著 心の内側に寄り添う仕事

「家庭裁判所調査官」と聞いて、どんな仕事なのかを説明できる人は、そう多くないだろう。
それだけ普段の生活には馴染みがない職業である。
本書はその家庭裁判所調査官になる、前段階の「調査官補」が主人公の連作短編集。

家庭裁判所調査官に採用されたばかりの新人・望月大地は2年間の養成過程研修で九州・福森家裁に配属される。
新人ではあるが実際の少年事件を担当するなかで、表面には見えてこない心の内側に、その人にしかわからない真実があることに気づく。
それは必ずしも良いことだけとは限らない。
相談者と彼らを取り巻く家族との抗いがたい葛藤と苦悩を共に考え、向き合うことで、望月大地自身もまた成長していく物語。

【BOOK】『あの夏の正解』早見和真:著 「甲子園」という魔法が解けた時、何をすべきか

2023年の夏の甲子園大会(第105回全国高等学校野球選手権大会)は、慶應高校が大会2連覇をかけた仙台育英高校を破って107年ぶりの優勝を飾った。 アフターコロナの時代を象徴するように、声出し応援やブラスバンド演奏の解禁 …