豊作の予感はあったものの、朝ドラと大河を除いて7作品を完走。やや少なめか。
続きを読む: 【TVドラマ】2025秋(10月開始)ドラマ鑑賞後感想メモ【NHK朝ドラ】 ばけばけ

2025年9月29日スタート 毎週月曜〜土曜朝8:00-8:15/NHK総合ほか
ばけばけ – NHK https://www.nhk.jp/p/bakebake/ts/662ZX5J3WG/

高石あかり主演、ふじきみつ彦脚本で、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの妻・小泉セツをモデルしたある夫婦の物語。セツをモデルにしつつも、大胆に再構築しフィクションとして描く。松江の没落士族の娘として生まれた松野トキ(高石)は、松江で英語を教えることになったレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)と出会う。
「怪談」「山陰地方」「外国人俳優が主演級」というハンデ(!?)を背負いながらも、よくぞここまで最高傑作を更新してくれた『ばけばけ』。
世界観フェチとしては、オープニングでいきなりやられてしまう。
静止画、小さな文字、余白たっぷり、ゆったりとした主題歌のオープニング。
どれをとっても製作陣の勇気を讃えたい。
脚本の素晴らしさ、演出の面白さ。
そして主演の高石あかりの凄まじい演技力。
シリアスとコメディの振り幅は、おそらく同世代俳優の中でもダントツではないだろうか。
2025年内最終放映回は神回であった。

2026年明けは1月5日から。

【NHK大河ドラマ】 べらぼう
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 – NHK

2025年1月5日(日)20:00スタート
日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き
時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物
“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯。
笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマ!

【大河ドラマべらぼう】1/5(日)放送開始!1分でわかる予告編 | NHK – YouTube
吉原という狭い世界で生きてきた「蔦重」が、出版を通して江戸に流行を作り、江戸を盛り上げる仕掛け人・プロデューサーへ。
さらには、時の政権に反骨しながらも「文化」を守り抜く出版人・ジャーナリストへと昇華した。
「べらぼう」については長くなりそうなので、あらためてまとめたい。
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう

2025年10月1日スタート 毎週水曜夜10:00-10:54/フジテレビ系
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう – フジテレビ
https://www.fujitv.co.jp/moshi_gaku/

主演・菅田将暉、脚本・三谷幸喜で描く、1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇。成功を夢見る演劇青年・三成(菅田)は、甘くない現実にも諦めず立ち向かっていた。そんな中、ダンサーのリカ(二階堂ふみ)、放送作家の省吾(神木隆之介)、神社の巫女・樹里(浜辺美波)らと出会い、友情を育んだり、恋心に揺れたりしながら日常を過ごしていく。
三谷幸喜脚本ということで期待を大きくして観た。
先の展開が読めない面白さはあったが、やはり演劇やシェイクスピアなどの事前知識が無いためか、深い面白さを感じるまでには至らなかった、というのが正直な感想。
1980年代の「空気」は小道具としてはあったが、本質的なものではなかったのではないか。もちろん、舞台が1970年代だったらどうか、1990年代だったら成立したか、というと成り立たなかったかもしれない。80年代だからこその、高揚感とハイコンテクストを超えたハイパーコンテクストカルチャーが、あの演劇の舞台を際立たせていたのは確かだろう。
タイトル「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」の「この世が舞台」というのは、シェイクスピアの戯曲『お気に召すまま』(As You Like It)第2幕第7場における登場人物ジェイクイーズの台詞。
解釈はさまざまあるだろうが、これが「役割を演じることの虚無感」を内包していると解釈するならば、「楽屋」という「安心できる場」「自らをさらけ出せる場」と解釈することができる。
結論はおそらく視聴者に委ねられる形で幕を閉じた。
自分にとっての「楽屋」は、「劇場」という「場」かもしれないし、「人」かもしれない。見る人の視点によって、様々な解釈が成り立つように作ってあったと思う。
良いこと悪いこと

2025年10月11日スタート 毎週土曜夜9:00-9:54/日本テレビ系
良いこと悪いこと|日本テレビ https://www.ntv.co.jp/iiwaru/

間宮祥太朗と新木優子がW主演を務める考察ミステリー。高木将(間宮)や猿橋園子(新木)ら同窓会で集まった小学校の同級生たちが、タイムカプセルから発見された“6人の顔が塗りつぶされた卒業アルバム”をきっかけに、次々と起こる不審死の謎に巻き込まれていく。高木と猿橋は事件を止めるために動き出す。
「考察系ドラマ」として放送前から大々的に宣伝されていたので、そのような見方をして、YouTubeなどでも「考察動画」がたくさん作られていた様子。
おそらく制作者側の意図通りに話題作りができたのでは無いかと思われる。
だが、そういった「考察」界隈は、本質的なものではない。単なる客寄せ要素だったのだと思う。
このドラマの本質的な価値は「いじめ」それも「過去のいじめ」と向き合ったことだろう。
タイトル「良いこと悪いこと」は「良い子と悪い子と」とも読める。
小学校時代の「善悪」は非常に曖昧だ。
親や教師や同級生との関係性の中で容易に歪められてしまう。
本作では、小学校のクラスという閉鎖空間で形成された「歪んだ正義」や「同調圧力」が、20年以上の時を経て大人になった彼らを追い詰める様子が描かれた。
これは現代にも通じる構造的な落とし穴として存在する。
過去に行った「小さな所業」は悪意がなかったとしても、消えることなく蓄積し、大人になってから致命的な刃となって返ってくる構造と同じである。
現代社会におけるSNSでの過去の掘り起こしや、コンプライアンス意識の高まりとも共鳴し、強いリアリティを持って視聴者に問いかける。
「良いこと悪いこと」というシンプルなタイトルは、大人になった今こそ、その基準を自身の倫理観で問い直さなければならないというメッセージにも思える。
ザ・ロイヤルファミリー

2025年10月12日スタート 毎週日曜夜9:00-9:54/TBS系
日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』|TBSテレビ
https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/

早見和真原作、妻夫木聡主演の人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語。競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間との絆で奇跡を起こしていく姿を描く。税理士の栗須(妻夫木)は、挫折の中で馬主である山王と出会ったことをきっかけに、止まってしまった人生が大きく動き出していく。
さすが日曜劇場。安定の日曜劇場であった。
だが予定調和だけではない、新しい日曜劇場でもあった。
それはひとえに、監督の塚原あゆ子の力が大きいのだろう。
「アンナチュラル」「MIU404」「最愛」「下剋上球児」「海に眠るダイヤモンド」など、名だたる名ドラマの演出・監督を担っている。
ドラマ本編が終わって、総集編の数分の動画を見るだけで泣けてくるなんて。
競馬などギャンブルには一切興味がないのだが、つい馬券を買いたくなってしまうくらい、引き込まれる世界観の演出が素晴らしかった。
日常の中で多くの人を振り向かせ、虜にする、テレビドラマの最高の形を示した。
緊急取調室 第5シリーズ

2025年10月16日スタート 毎週木曜夜9:00-9:54/テレビ朝日系
木曜ドラマ『緊急取調室』|テレビ朝日
https://www.tv-asahi.co.jp/kintori/

天海祐希主演のシリーズ最新作。天海演じるたたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」のメンバーと共に、凶悪犯と一進一退の心理戦を繰り広げる姿が描かれる。連続ドラマ4作品とドラマスペシャル2作品を経て、今シーズンと劇場版で完結する。
「お約束」多めのフォーマットがすでに完成された感のある中で、豪華なゲスト陣もすでにあらゆる人が出尽くしたと思われていた。そんな中でもチャレンジングな脚本があった。
ひとつは、今回の第5シーズンでは、第1話と第2話、第8話と最終話で一つの事件を前編後編に分けた脚本体制をとっていた点だ。
第3シーズン・第4シーズンでそれぞれ「2話で1つの事件」パターンはあったものの、それぞれ1回ずつだった。ここぞというゲスト俳優を迎えての「お祭り」的要素もあったのだが、最終シーズンということで2回盛り込んだのだろうか。
もうひとつは、映画との連動企画である。

元はと言えば、映画の企画が昨年か一昨年下にあったものの、香川照之の事件でお蔵入りになりそうになっていたところ、仕切り直しでテレビ〜映画という路線を引いたもの。
結果的には動線としては良かったのではないだろうか。
映画はまだ観ていないけれど。
天海祐希という俳優はとても好きなのだが、制作側としては大変に制約の多い俳優さんだなとは思う。
天性の主役的存在感があり、高身長の女性、年齢的にはベテラン級、採用するからには絶対に「当てなければならない」というプレッシャーが襲いかかる。
だが、たいてい「当たる」し、話題性も抜群である。
なんという稀有な存在だろうか。
スキャンダルイブ

11月19日(水) スタート 毎週22:00〜23:00(全6話)ABEMA SPECIALチャンネル
スキャンダルイブ #1 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
これを書いている時点ではまだ最終話を観ていないのだが、相当に面白い。
プロットだけを見ると、対して面白そうには思えないが、実は周到に計算された脚本で、芸能界に渦巻く「裏をかく」丁々発止のやり取りが、制作側と視聴者側との間にも展開されているかのような仕掛けが仕込まれており、「こうだと思っていたらあっちだった」「あっち方面ではなくこっち方面か」と、すっかりと揺り動かされてしまっていた。
そういうと、ひところ流行った「ジェットコースタードラマ」のような展開だと思われがちだが、決して視聴者を振り回しているわけではない。
要所要所でストーリーを混乱させない演出もきちんと用意してある。
特筆すべきは、やはり役者の演技力だろう。
柴崎コウと川口春奈のW主演ということで、話題性はもちろん、演技力も評価が高い2人がしっかりとストーリーを推し進める。
川口春奈はCMでもドラマでも引っ張りだこではあるが、ドラマにおいては作品に恵まれる時とそうでない時のギャップが大きい。
総じて恋愛ものは若者ウケは良いかもしれないが、それ以外の層には全く響いていないのではないだろうか。もう少し作品を厳選しないと、消費されてしまうだろう。もっと上質な作品で評価されるべき俳優だと思う。
ABEMAは、ここ最近、オリジナルのドラマを多数制作しているようだ。
ドギツイ設定だったり、インパクト重視のプロットや押し出し方で、主に若者層をターゲットにしていることから、私は全く注目していなかったが、本作『スキャンダルイブ」は、本格的な作りと豪華すぎるキャスティングが見事にハマった格好だ。
補足情報
- 2023年の作品傾向: 2023年は『インフォーマ(第1作)』が大きな話題になりましたが、制作は関西テレビ(カンテレ)主導であり、ABEMAは配信パートナーとしての立ち位置(※2024年の続編はABEMA制作)。
そのため、2023年はABEMA純粋制作の長編ドラマは少なく、ショートドラマや共同プロジェクトが中心。 - 共同制作・独占配信: 上記以外にも、MBS制作の『愛人転生 -サレ妻は死んだ後に復讐する-』(2024年)など、地上波放送と連動してABEMAで独占・先行配信される作品も多数存在。
ちょっとだけエスパー

2025年10月21日スタート 毎週火曜夜9:00-9:54/テレビ朝日系
ちょっとだけエスパー|テレビ朝日
https://www.tv-asahi.co.jp/chottodake_esper/

大泉洋が主演を務め、野木亜紀子が脚本を手掛けるジャパニーズ・ヒーロードラマ。大泉が演じるのは、会社をクビになり、家族も貯金も何もかもを失った“どん底サラリーマン”・文太。ネットカフェを泊まり歩く日々を過ごしていたある日、最終面接に合格した会社の社長から、ちょっとだけエスパーとして“世界を救う”仕事を与えられる。
流石の野木亜紀子脚本であった。
コロコロコミックだったのに一気にアフタヌーンになった。

SFであっても、コメディであっても、面白いドラマというのは「現実感」がしっかりとある。これを「リアリティ」とか「リアリティライン」などと言うが、野木亜紀子作品には、これが違和感なくストーリーに溶け込んでいて、気づいたら登場人物があたかも実在するかの如く感じてしまう。
野木亜紀子作品に多く共通するのは「弱者の視点」ではないだろうか。
いわゆる「普通の人」たちが、困難を抱えながらも懸命に生きていく姿を描き、その中で弱者側の視点を通して社会を見ていることが、リアリティラインを絶妙に上手く構築できている理由ではないかと思う。
ひらやすみ(夜ドラ)

2025年11月3日スタート 毎週月曜〜木曜夜10:45-11:00/NHK総合
ひらやすみ – NHK

真造圭伍の同名漫画を、主演・岡山天音、共演・森七菜、吉岡里帆でドラマ化。人柄がいい主人公・ヒロト(岡山)と、悩みを抱えた人々との日常を丁寧に描く。ひょんなことからヒロトは一戸建ての平屋を譲り受け、山形から上京してきたいとこ・なつみ(森)と暮らすことに。そんな彼の元に、よもぎ(吉岡)ら生きづらさを抱えた人が集まってくるようになる。
「日常系」ドラマの極み、とでも言うべきか。
何も大きな事件が起こるわけでもなく、主人公が恋愛に努力奮闘するわけでもなく、謎が謎を呼ぶこともなく(そもそも謎なんてない)、ただただ、ヒロトとなつみが平屋に住み、生活していく様子が描かれるドラマである。
このドラマもやはり「リアリティライン」が絶妙。
フィクションなのでもちろん嘘なのだが、本当に阿佐ヶ谷にいそうな雰囲気である。
森菜々演じる美大生の「なっちゃん」の拗らせぶりが面白く、日常の何気ないことも、視点次第でこんなにもドラマになるのかと、楽しませてもらった。
ああ、続編が見たい。

- 著者: ふじき みつ彦 , NHK出版 (編集), NHKドラマ制作班 (監修)
- 出版社: NHK出版 (2025/9/22)
- 著者: 大泉洋 (出演), 宮﨑あおい (出演) 形式: Blu-ray
- 出版社: 不明