【BOOK】『東京ホロウアウト』福田和代:著 運んでいるのは信頼
「HOLLOW OUT(ホロウアウト)」とは、直訳すると「凹(くぼ)める」「決(さく)る」「抉(えぐ)る」という意味らしい。
ニュアンスとしては、ある一定の領域に対して中央付近だけを取り除く、欠落させる、といった感じだろうか。
東京一極集中が進む中、2020年二度目の東京オリンピックが開かれる直前、トラックに青酸ガスを仕掛ける事件が発生。
単なる嫌がらせでは収まらず、高速道路やトンネル、ガソリンスタンド、東京湾にかかる橋にまで事故が頻発。
さらに首都圏を直撃する台風によって、東京に物資が入らなくなる「ホロウアウト」状態に。
何でも揃う大都市の「当たり前」は名もなき人々の不断の努力によって支えられていたのだ。
現代に生きる我々の、明日にでも起きかねない”物流クライシス”の傑作。