【BOOK】『護られなかった者たちへ』中山七里:著 護る側も護られる側も人間

この作品を読んだときに、真っ先に思ったのは、全国の福祉保健事務所の職員の方々は、これを読んでどう思うのだろうか、ということだ。 もちろん小説はフィクションなので、鵜呑みにするわけにはいかないし、現実とごちゃまぜに考えるべ …

【BOOK】『カラスの親指』道尾秀介:著 騙された読了後に去来するもの

なんと言えば良いのだろうかこの感覚は。読後感は一言で言えばとても爽快感があった。感想文を書こうと思ったが、何を書いてもネタバレになりそうな気がして、何から書けば良いのか分からなくなった。この作品はネタバレをしてしまうと、 …

【BOOK】『ガーディアン』薬丸岳:著 教師の矜持とは

Kindle Unlimitedで読了。 タイトルから一瞬、SFっぽい内容なのかと思ったが学園ものだった。ただ、普通の学園ものではないあらすじを見て、読んでみようと手に取った(Kindleなのに手に取るという表現はいかが …

【BOOK】『#真相をお話しします』結城真一郎:著 絶対に予想できない真相

本屋が好きで週末はだいたい足を向ける。
最近、やけに目立つ帯とインパクトのある表紙で気になっていた書籍を、半ば衝動的に購入した。
5つの短編から構成されているのだが、ひとつひとつの編がひと癖もふた癖もあるストーリーになっており、ひとつを読み終えたら、すぐに次に進むには休憩が必要なくらい「濃い」作品集だ。

【wordpress】いまさらhttpsにした件-ロリポップサーバでwordpressサイトをSSL化

表題の通りである。
なぜいまさら。時は2022年である。

【TV】NHKスペシャル『中流危機を越えて』-もう遅いかも

NHKスペシャル“中流危機”を越えて「第2回 賃金アップの処方せん」 – NHKプラスを見ての感想メモ。 知人がちらっと映る、ということで何の気なしに見てみたところ、内容も興味深かったので慌てて音声入力でメモ …

【もう高校生】今ドキ高校生男子(ポンコツ)のスマホ事情とデュアルsimの落とし穴編

【もう中学生】子どもが中学生になった時の環境設定 #スマホ編からの【もう高校生】ポンコツ長男、高校球児になる の巻の続報です。 ポンコツ長男のスマホ、格安SIMのLINEモバイルにしていたのだが、ここ数ヶ月間ずっと「 …

【BOOK】『百年法』山田宗樹:著 死は人として生きるということ

この衝撃的な書き出しで始まる物語は、人類が永遠に求め続けるであろう「不老不死」をテーマに、人間に対する愚かさと希望とを描いた作品だ。
この条文が全ての根源となって、悲劇も、幸福も、希望も、葛藤も、全てをまるっと呑み込んでドラマが描き出されていく。

【BOOK】『宝島 HERO’s ISLAND』真藤順丈:著 宝は英雄が見た碧い夢

本作品は、1952年発効のサンフランシスコ講和条約から、1972年の本土復帰までの20年に渡る沖縄の史実をベースにしている。米軍基地から物資を盗み出す『戦果アギヤー』の若者たちの青春と葛藤を交えながら、沖縄が歩んできた苦悩を描いた第160回直木賞作品だ。

2022年は沖縄が本土復帰を果たした1972年からちょうど50年の節目の年に当たる。
1972年生まれのいわゆる「復帰っ子」と同い年の私には、いま、この作品を読むことに、ある種の義務感と偶然性と必然性を感じ、神様のいたずらにあえて弄ばれてみようかと思い本書を手に取った。

【BOOK】『爆弾』呉勝浩:著 ルールを踏み越えられる「仲間」

シンプルなタイトルだが、内容はえげつない、という評判だけを聞いていて、書店で見かけて即購入した。なるほど、評判通りえげつない。いや、えげつないどころか、ちょっとした問題作ではないかと思った。単に爆弾がしかけられて、それを警察が必死に捜査してなんとか爆破は止められた、といったチープなものではない。人間の心理、常識、正義感の瘡蓋をバリバリとめくり上げ、本当にそれって正しいのか? あなたにもこんな気持ちあるんじゃないのか? とラストまで揺さぶられっぱなしになる。そんな作品だ。

【BOOK】『雨に消えた向日葵』吉川英梨:著 信じることそのものが希望であり奇跡である

娘を持つ父親の立場でしか読めなかった。 そしてそれは同時に凄まじい恐怖でもあった。 私には娘がいる。それも(読書時点では)同じ小学五年生だ。 もし、娘に何かあったら、と思うと、ページをめくる手が躊躇してしまう。 でも、先 …

【MOVIE】2022上半期に観た映画感想メモ

今年も早いもので折り返し地点になる。
今年は貪欲に映画を観て小説を読んでいる。
ここで2022年上半期のまとめをしておきたい。
映画を感想メモとして記事にすることもあるが、都度映画レビューアプリでメモしているので、そこから抜き書きしておく。

【BOOK】『傲慢と善良』辻村深月:著 傲慢さと善良さを乗り越えるためには

Photo by Brooke Cagle on Unsplash 誰の中にもある自己愛を傲慢と捉えるか、それとも善良と捉えるのか。果たして自分はどうだろうか、と考えた。 ずっと善良だと思っていたが、それはある一面に過ぎ …

【BOOK】『不発弾』相場英雄:著 金と強欲と贖罪の狭間の物語

日本は1980年代のバブル景気の前夜と弾けた後、30年以上経った。
臭いものには蓋をして先延ばしにしてきたいま、「大掃除」に迫られている。
そんな現実をリアルに感じさせてくれる作品だ。

【BOOK】『イノセントデイズ』早見和真:著 何が正しいのかを見極める想像力

暗く重い衝撃作であった。読後に残ったこの灰色のどろりとした重みのある感情は、否応なしに「おまえも当事者だ」ということを自覚させるには充分すぎるほどだ。

【MOVIE】『楽園』本当に悪いのは誰なのか

観終わった後、何とも言えない、胸の深い部分にドロドロとしたヘドロのようなものがべっとりと張り付いていて、それがボタボタと床に落ちていくような、そんな不快だけれど、これで少しつまりが取れて安堵できるような、そんな不思議な感 …

【Lv.50】人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり

テレレレッテッテッテー! ゆうしゃはレベルがあがった!(Lv.50)

【BOOK】『スクラップ・アンド・ビルド』羽田圭介:著 破壊と再構築は表裏一体

本作は第153回(2015年)芥川賞を受賞、それを機に一時はメディアに露出しまくっていた羽田圭介さんの著作。分量は単行本で121ページとそれほど長くないせいか、入手してすぐに一気に読んだ。
読後感は、なんだか古めの日本映画を観たあとのような、独特のざらっとした感触が残った。
決して派手なストーリーではなく、字面を追っていくと淡々と進んでいく物語だったが、実は深い示唆を感じさせる作品でもあった。

【BOOK】『夜がどれほど暗くても』中山七里:著 いつか夜は明けるということ

Photo by OC Gonzalez on Unsplash 何の前知識なしに、タイトルだけで手に取った。いわゆる「ジャケ買い」である。 ラストのどんでん返しもさることながら、自分の制御できる範疇を越えたところで周り …

【BOOK】『俺達の日常にはバッセンが足りない』三羽省吾:著 あの頃の”居場所”を求めて

「バッセン」とは「バッティングセンター」のことである。 ただ、飛んでくるボールをバットで打ち返す。 ただそれだけの施設なのに、全国津々浦々にあるのは、考えてみれば不思議である。 おそらく、野球をやったことがない人でも、人 …