【BOOK】『生存者ゼロ』安生正:著 これは現代の黙示録なのか
圧倒的なスケールで描くクライシス・バイオパニック・サスペンス。というとかなり軽いアクション映画のような表現だが、自然の猛威なのか、人類のエゴが引き起こした厄災か、想像を超えた事象に人類が巻き込まれる様を描いた大作だ。
もし、日本が、世界が、いや人類が滅びるとしたら、こういった原因は十分に考えられる、と妙に納得してしまう。
それほどまでの説得力があるロジックと圧倒的な状況描写で最後まで緊張感が張り詰める物語だ。
圧倒的なスケールで描くクライシス・バイオパニック・サスペンス。というとかなり軽いアクション映画のような表現だが、自然の猛威なのか、人類のエゴが引き起こした厄災か、想像を超えた事象に人類が巻き込まれる様を描いた大作だ。
もし、日本が、世界が、いや人類が滅びるとしたら、こういった原因は十分に考えられる、と妙に納得してしまう。
それほどまでの説得力があるロジックと圧倒的な状況描写で最後まで緊張感が張り詰める物語だ。
2022年はたくさんの小説を読んだ。 感想文もたくさん書いた。 読んだ本すべてを感想文にしたわけではないが、ひとまずこの1年に読んだ本をまとめておこうと思う。
主人公他、主要な登場人物の多くが女性であることは、大きな要素ではあるものの、本作のテーマのひとつの断面に過ぎない。
本作の根幹にあるのは、人はなぜ戦争をするのか、何のために戦うのか、正義とは何かといった人間が生きる上での根源的な問いに対する、著者のアンサーのひとつが記されている、ということだ。
本書が刊行されたのは1992年。
あらためて令和の時代に読んでみて、テーマの根深さは当時からずっと変わっていないことに驚きとともに感嘆した。
読んでいて、爽快感があるとか、この先の展開がどうなるのか気になる、といった作品ではない。
どちらかと言うと、鬱屈した人間の内面の葛藤や、なぜこんな気持ちになるのかがわからないけれど、溢れ出てしまう焦燥感を描写した作品だなと感じた。
そしてその苦悶の日々の先に、成長し、希望が見える作品でもあった。
「歴代最多の3回の三冠王」 「日本人初の1億円プレーヤー」 「優勝請負人」 落合博満を言い表す言葉はたくさんあるが、これだけでは落合博満という人間を表現するには全然足りない。 私は大の広島カープファンではあるが、歴代最高 […]
遅ればせながら、「Audible」を始めてみた。
一人の女性の半生を、語り部を変えながら紡ぐ連作短編ミステリー。
時系列が行ったり来たりするなか、一貫して怨念と共に生きる「静加」の周辺で語られるひとりの女性の生き様が交錯する。
そしてその女性は、守るべき存在を抱えながら、誰にも負けなかった人生だった。
この作品を読んだときに、真っ先に思ったのは、全国の福祉保健事務所の職員の方々は、これを読んでどう思うのだろうか、ということだ。 もちろん小説はフィクションなので、鵜呑みにするわけにはいかないし、現実とごちゃまぜに考えるべ […]
なんと言えば良いのだろうかこの感覚は。読後感は一言で言えばとても爽快感があった。感想文を書こうと思ったが、何を書いてもネタバレになりそうな気がして、何から書けば良いのか分からなくなった。この作品はネタバレをしてしまうと、 […]
Kindle Unlimitedで読了。 タイトルから一瞬、SFっぽい内容なのかと思ったが学園ものだった。ただ、普通の学園ものではないあらすじを見て、読んでみようと手に取った(Kindleなのに手に取るという表現はいかが […]
本屋が好きで週末はだいたい足を向ける。
最近、やけに目立つ帯とインパクトのある表紙で気になっていた書籍を、半ば衝動的に購入した。
5つの短編から構成されているのだが、ひとつひとつの編がひと癖もふた癖もあるストーリーになっており、ひとつを読み終えたら、すぐに次に進むには休憩が必要なくらい「濃い」作品集だ。
この衝撃的な書き出しで始まる物語は、人類が永遠に求め続けるであろう「不老不死」をテーマに、人間に対する愚かさと希望とを描いた作品だ。
この条文が全ての根源となって、悲劇も、幸福も、希望も、葛藤も、全てをまるっと呑み込んでドラマが描き出されていく。
本作品は、1952年発効のサンフランシスコ講和条約から、1972年の本土復帰までの20年に渡る沖縄の史実をベースにしている。米軍基地から物資を盗み出す『戦果アギヤー』の若者たちの青春と葛藤を交えながら、沖縄が歩んできた苦悩を描いた第160回直木賞作品だ。
2022年は沖縄が本土復帰を果たした1972年からちょうど50年の節目の年に当たる。
1972年生まれのいわゆる「復帰っ子」と同い年の私には、いま、この作品を読むことに、ある種の義務感と偶然性と必然性を感じ、神様のいたずらにあえて弄ばれてみようかと思い本書を手に取った。
シンプルなタイトルだが、内容はえげつない、という評判だけを聞いていて、書店で見かけて即購入した。なるほど、評判通りえげつない。いや、えげつないどころか、ちょっとした問題作ではないかと思った。単に爆弾がしかけられて、それを警察が必死に捜査してなんとか爆破は止められた、といったチープなものではない。人間の心理、常識、正義感の瘡蓋をバリバリとめくり上げ、本当にそれって正しいのか? あなたにもこんな気持ちあるんじゃないのか? とラストまで揺さぶられっぱなしになる。そんな作品だ。
娘を持つ父親の立場でしか読めなかった。 そしてそれは同時に凄まじい恐怖でもあった。 私には娘がいる。それも(読書時点では)同じ小学五年生だ。 もし、娘に何かあったら、と思うと、ページをめくる手が躊躇してしまう。 でも、先 […]
Photo by Brooke Cagle on Unsplash 誰の中にもある自己愛を傲慢と捉えるか、それとも善良と捉えるのか。果たして自分はどうだろうか、と考えた。 ずっと善良だと思っていたが、それはある一面に過ぎ […]
日本は1980年代のバブル景気の前夜と弾けた後、30年以上経った。
臭いものには蓋をして先延ばしにしてきたいま、「大掃除」に迫られている。
そんな現実をリアルに感じさせてくれる作品だ。
暗く重い衝撃作であった。読後に残ったこの灰色のどろりとした重みのある感情は、否応なしに「おまえも当事者だ」ということを自覚させるには充分すぎるほどだ。
本作は第153回(2015年)芥川賞を受賞、それを機に一時はメディアに露出しまくっていた羽田圭介さんの著作。分量は単行本で121ページとそれほど長くないせいか、入手してすぐに一気に読んだ。
読後感は、なんだか古めの日本映画を観たあとのような、独特のざらっとした感触が残った。
決して派手なストーリーではなく、字面を追っていくと淡々と進んでいく物語だったが、実は深い示唆を感じさせる作品でもあった。
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『ギフテッド』山田 宗樹 (著) 全くの予備知識なしで読み始めたが、ページをめくる手が止まらなかった。 久々に一気読みした。
子育てに悩む親のひとりとして、巷にあふれる「子育て本」や「教育本」は無視できない存在だ。 ここ数年でよく目にするのは、「子どもを次々に東大に入れた母親の家庭学習の秘訣」だとか、「塾にも行かせずにハーバード大に合格させた母 […]
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