【BOOK】『告白』湊かなえ:著 全員が拗らせた結果としての悲劇とほんの少しの希望の光
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
中学校の終業式のホームルームで女性教師が告白する。
登場人物全員がどこか歪んで拗らせている。
その歪みは、それぞれの主観で綴られた「独白(モノローグ)形式」の文章によって、より際立っている。
衝撃的なラストに息を飲む、第6回本屋大賞受賞作。
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
中学校の終業式のホームルームで女性教師が告白する。
登場人物全員がどこか歪んで拗らせている。
その歪みは、それぞれの主観で綴られた「独白(モノローグ)形式」の文章によって、より際立っている。
衝撃的なラストに息を飲む、第6回本屋大賞受賞作。
「世界一孤独なクジラ」が歌う声は52ヘルツで響く。ただしその声は他のクジラには聞こえない。
助けてという声が他の誰にも届かない孤独を背負って、深い海を漂うそのクジラに、希望はあるのだろうか。
児童虐待、ヤングケアラー、ネグレクト、トランスジェンダーなど、助けてと声を上げても聞いてもらえない者の悲しみは、52ヘルツで歌うクジラそのものだ。
2021年本屋大賞受賞作。「自立」に必要な、たったひとつの「呪い」を解く物語。
主人公他、主要な登場人物の多くが女性であることは、大きな要素ではあるものの、本作のテーマのひとつの断面に過ぎない。
本作の根幹にあるのは、人はなぜ戦争をするのか、何のために戦うのか、正義とは何かといった人間が生きる上での根源的な問いに対する、著者のアンサーのひとつが記されている、ということだ。