【BOOK】『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ:著 助けてと声を上げ「呪い」を解く物語

「世界一孤独なクジラ」が歌う声は52ヘルツで響く。ただしその声は他のクジラには聞こえない。
助けてという声が他の誰にも届かない孤独を背負って、深い海を漂うそのクジラに、希望はあるのだろうか。
児童虐待、ヤングケアラー、ネグレクト、トランスジェンダーなど、助けてと声を上げても聞いてもらえない者の悲しみは、52ヘルツで歌うクジラそのものだ。
2021年本屋大賞受賞作。「自立」に必要な、たったひとつの「呪い」を解く物語。

【BOOK】『同志少女よ敵を撃て』逢坂冬馬:著 真の敵は自分の内側にいる

主人公他、主要な登場人物の多くが女性であることは、大きな要素ではあるものの、本作のテーマのひとつの断面に過ぎない。
本作の根幹にあるのは、人はなぜ戦争をするのか、何のために戦うのか、正義とは何かといった人間が生きる上での根源的な問いに対する、著者のアンサーのひとつが記されている、ということだ。