CREATIVE DESIGN S+d 雑想ノート

【ストックフォト】MIXAの「百人の顔」問題、毎日新聞が見識不足の煽り報道

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マイザ・イメージライブラリー「新・百人の顔」

毎日新聞、お前もか。

顔写真:東京の業者が無断で広告に CD販売、回収不能 – 毎日jp(毎日新聞)
 商業目的への利用などについて十分な説明のないまま撮影された一般市民の顔写真を、東京の写真素材製造販売会社がCD化して販売し、収録された顔写真を使用した広告主と被写体の間でトラブルが頻発している。勝手に写真に手を加えた例や事実無根の広告に使用したケースもあり、同社は販売を中止。しかし、既に出回ったCDの回収は不可能で、被害は相次いでいる。肖像権を無視した「顔写真ビジネス」のモラルが問われそうだ。

モラルを問われるのは新聞社もでしょ。

 マイザは「(写真素材業者からは)『理解してもらえた人だけ撮った』と聞いている。公序良俗に反する使い方をしてはいけないと明示しており、責任は購入者にある」と主張。しかし、ある広告会社は「このCDをこういうことに使わないで、何に使えというのか」と反論している。

と記事を結んでいるが、この「ある広告会社」とはどこか、説明がない。これはフェアではない。
さらにこの「ある広告会社」の論旨が全く荒唐無稽で完全に利用規約を逸脱した使い方をしている、という説明が足りない。
これは「報道」としては役不足どころか、「報道」になっていない。
この「ある広告会社」と毎日新聞との間で何らかの利害関係があるのでは? と、捉えられても仕方が無い偏った煽り記事だ。

さらに「このCDをこういうことに使わないで、何に使えというのか」という主張そのものも、ナンセンスである。
「こういうこと」以外の使い方なんて、いくらでもある。想像力が貧困すぎるな、こやつら。
「こういうこと」に使いたければ、自社できちんと撮影すればいい。きちんとモデルさんにも利用許諾を確認してな。

そもそもこの問題の責任の所在は、マイザ側が主張するとおり、商品の購入者側・「ある広告会社」側など、にある。
利用規約「外」の使い方をしているからであり、それはもう明白である。

サイト上でも諄いくらいに繰り返し注意喚起している。
【vol.284「新・百人の顔」、vol285「百人の姿」ご利用上の注意】

さらに写真の由無し事さんでも、とりあげられている。

今回の新聞記事では、前回のトラブルについて取り上げているのだが、若干、煽りすぎのような気もするがどうだろうか。見出しの”顔写真:東京の業者が無断で広告に”というところだが、無断で利用規約外の使用をしたのは、写真素材販売会社(マイザ)ではなく、広告制作会社だったり、広告主だったりするわけで、マイザが勝手に写真を集めて、自分の広告に利用しているように書かれているのは、ちょっとずれているような気がする。また、”肖像権を無視した「顔写真ビジネス」のモラル”というところも、まるでマイザがモデルに無許可で、このCDを制作・販売しているかのような誤解を与えそうだが、実際には、この記事にもあるように、「使用許諾確認書」にサインの上、モデルになってもらっているわけなので、肖像権無視というのとは、ちょっと違うような気がする。肖像権保証と謳っているのに、実はモデルに許可を取っていなかったというのなら、確かに問題だが、このケースは違うはずだ。また、ストックフォトという販売形態上、実際の用途は、チラシからカレンダーまで様々で、実際に使われるまで、どのような利用のされ方をするのか分からないのは、おかしなことではない。また”CDに添付されている利用規約には、特定の団体や商品を推奨するような使い方の禁止を盛り込んでいる”わけで、利用のされ方が全く不明確であったわけではないはずだ。

ストックフォト・MIXAの「百人の顔」問題、毎日新聞で取り上げられる – 写真の由無し事

全くその通り。

マイザの社長ブログでも、今回の騒動に対するコメントがアップされている。
神楽坂で働く社内ベンチャー社長のひとりごと : 毎日新聞の報道について

この記事に驚かれたかたもいらっしゃるかと思います。
ご心配をおかけしたこと、このブログを読んでいただいているかたに不愉快な思いをさせてしまい、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。
また、弊社のみならずストックフォト業界関係先にまで取材が及びお手間を取らせましたこと
心より申し訳なく思います。
この場を借りてお詫びいたします。

そして、この方はマイザの件とは全く無関係なのですが、不正利用された経験が。
自分の顔写真を無断で広告に使われたときの話 – 頭ん中

たしかに不正利用されて被害を被った方には、本当にお気の毒としか言いようが無いのですが、悪いのは不正利用した業者であり、写真素材集を販売したマイザではありません。
その辺を誤解無きように。


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