4つのタイプ コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる[Kindle版]
- 作者:鈴木義幸
- 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2014-08-01
人の内面は目に見えるものではないので、どこまで分析しても客観性という意味では弱い印象があります。
ところが、コミュニケーションのとり方で分類するということは、目に見える部分での観察から分類しているので、非常に客観的というか、説得力を持っていると思います。
とはいえ、読めば読むほど、理解が進むほどに「ああーあるある、たしかに!」と納得の連続でもありました。
人間関係に悩んでいる人だけでなく、ビジネスでチームをまとめる役割の人や、営業での取引相手との関係構築、家族間でのやりとり、あるいは若年者への教育など、幅広く応用できる知識だと思いました。
これがすべて、ではないにせよ、「知っておくととても便利」な知識であると言えます。
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Contents
ひとことで言うとどんな本?
人を4つのタイプに分け、それぞれの傾向と対応のポイントを示した書籍です。
これまでの類似書籍とはどう違うの?
人の「性格」とか「人間性」といった大枠での内面で分類するのではなく、他者との「コミュニケーションのとり方」から考察した結果から導いた分類方法である点が、従来の類似書籍とは大きく違うところでしょう。
人を4つにタイプ分け
人をいくつかのタイプに分ける考え方自体は、古くからあり、ギリシア時代から考えられていたという説もあります。
現代では、誰もが知っている分類方法としては、「血液型」がありますね。
科学的根拠はない、と昨今では言われているようですが、A型は真面目、O型はおおらか、などなど、なんとなくそういう風に思っていたりすることもあるでしょう。
そうした分類に関しては、意味が無いとか辟易している、という人も多いのではないでしょうか。
それは、「人間はそんなにすんなり4つに分けられないよ」とか、「タイプ分けを押し付けないで」といった感情から来るものが少なからずあると思います。
本書で提唱している4つのタイプ分けに関しても、きっちりと4つに分けられる、と考えているわけではなく、コミュニケーションのとり方で分類すると大きく4つの傾向があり、その傾向を知ることで対処方法を効果的に変えることが可能である、というものです。
厳密に4つに分類したいわけではなく、傾向を掴む程度に考えていいと思います。
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CSI(コミュニケーション・スタイル・インベントリー)
本書では、コーチング流タイプ分けの方法として紹介しています。
大きく4つのタイプに分けています。
・コントローラー
・プロモーター
・サポーター
・アナライザー
人を最も特徴づけるのは、他者とのコミュニケーションのとり方である、という前提で考えられた方法です。
「自己主張」と「感情表出」という2つの軸を使い、それぞれ強い弱いという方向性から4つにタイプ分けしています。
繰り返しになりますが、あくまでも心理学的な仮説と統計手法から割り出された因子であり、「おおよその傾向」と考えたほうがよいかと思われます。
自分が今まで苦手としてきたのはこういう類の人たちで、こういうことはそういう人にはしてはいけないと思っていたけれども、してもいいんだな、そうすることでものすごく強い関係が生まれるんだなとか。自分が楽に付き合えるのはこういう人たちだけだったけれど、それにはこういう背景があったんだなとか。
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4つのタイプの特徴
詳細は本書を深く読んでいただくのがよいかと思いますが、簡単に傾向を掻い摘んでメモしておきます。
コントローラー
ひとことで言うと、他人からああしろこうしろと言われるのがいちばん嫌いなタイプ。
状況はすべて自分がコントロールしたい、決定したいと思っています。人からコントロールされたくないのです。
キーワード:支配
トップダウン型のリーダータイプ、歴史上の人物で言うと、織田信長のイメージ?
極端なイメージですが、せっかちで結論からモノを言う、報告も結論から聞きたがる、その報告も自分が理解できれば途中でも「もういい」と打ち切るなど、絶対君主みたいなイメージでしょうか。
コントローラータイプばかりが集まったグループではさながら「マフィアのボス同士の会談」といった趣になるとか(笑)
互いに「この場を支配したい(コントロールしたい)」という気持ちから、最初は相手の出方を伺うので、会話が弾まないどころか誰もひと言も発しない、なんてこともあるそうです。
プロモーター
ひとことで言うと、注目されることが好きなタイプです。話の中心になる、周囲から褒められる、仕切り役を任されるなど、自分にはっきりと関心が向いている状態を好みます。
誰かの二番煎じは嫌いで、新しいアイデアをどんどん試したり、新しい仕事に挑戦したり、先頭を走るタイプです。
とにかく周りに影響を与えていることが好きなので、必然的に身振り手振りが大きくなり、ジェスチャーも多くなります。
歴史上の人物で言うと、豊臣秀吉でしょうか。
キーワード:影響
プロモータータイプばかりが集まると、それはそれは賑やかで、ずーっと話をしているそうです。
しかし、それは自分を語っているだけで、相手への気遣いなどはなく、ひたすら「影響合戦」になるそうです。
サポーター
ひとことで言うと、人間関係を大切にする「いい人」タイプです。何よりも人間関係を重んじます。
人を援助すること=サポートすることを好みます。先頭を突っ走ることはせず、その突っ走る人をサポートします。
周囲の気持ちに敏感で気配りが得意です。
キーワード:合意
自分の感情は抑えがちですが、承認欲求は強いです。
歴史上の人物で言うと、明智光秀や石田三成でしょうか。
サポータータイプばかりが集まると、いきなりディスカッションが始まったりはせず、まずはどういう順番で話をしていくのか、何を決めるのかなど全員が合意をしてから始めるそうです。
意見がぶつかるとか基本的になさそうですね。常に「和やか」に進むのでしょう(汗)
アナライザー
ひとことで言うと、冷静沈着慎重派で、分析することを好むタイプです。
キーワード:正しさ
じっくり状況を観察し、データを収集、それから行動を起こします。「とりあえずやってみよう」とはなりにくいです。
思いついたことをバーっと話す、ということはなく、慎重に言葉を選びながら話します。
アナライザータイプばかりが集まると、まずはじーっと資料などに目を通す時間があり、各自がそれぞれの認識を確認して、ある程度「正しさ」に自信が出てきてから初めて話し始めるそうです。
会話が弾むということは基本的になさそうですね(汗)
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自分はどんなタイプ?
本書でもタイプ分けを行うことができますが、簡易なものとなっています。
より本格的に診断してみたい場合は、「完全版CSI」を http://test.jp からできるようです。
有料ですが、スマートフォンアプリもあるようです。
タイプ分け(Communication Type Inventory)
https://itunes.apple.com/jp/app/typeclassificationtest/id516188909?l=ja
タイプ分け – Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.coacha.android.typeclassificationtest
簡易版の設問は20問。
それぞれの設問について、当てはまるか当てはまらないかを4段階で評価していきます。
回答したら、各項目の数値を計算式に入れると結果が出ます。
自分のタイプがはっきりと出る場合もあるでしょうし、全体的に同じくらい低い点数という方もいるかもしれません。
タイプ別対処法
それぞれのタイプごとに、適切な対処方法があります。詳細は本書をお読みいただくのがよいですが、ポイントだけ抑えておきます。
コントローラータイプ
コントローラータイプは、予想していなかった質問が来ると、身構えます。防衛反応が出るのです。
それはつまり、自分が「コントロールされてしまう」のではないかという気持ちから無意識に防衛しようとするのだそうです。
ですので、上から「質問する」のではなく、「教えて欲しい」と下から聞くのがよいそうです。
相手をコントロールしようとしないこと、そう思われないことが大切です。
プロモータータイプ
プロモータータイプは、何よりも「影響すること」が大切なので、例えば「成功体験」などを聞くと、ノリノリで話してくれます(笑)
とにかく理路整然とはしていないので、途中で話のコシを折ること無く、どんどんと相槌を打って「それで?それで?」「えー!? それすごいですねー!」とエクスクラメーションマークをたくさんつけて返すことでモチベーションが高まります。
理屈とか裏付けなどは割りとどうでもいいタイプなので、目標を夢として語って期待を煽ると更にノッてくれます。ロジカルに正しいかどうかは二の次です。
細かいところまでは気が回らないので、少々は目をつむりましょう。とにかく先頭を突っ走る役目として頑張ってもらいましょう(笑)
サポータータイプ
サポータータイプは、全体のためになるなら、自分は身を捧げてもいい、という気質なので、「合意」が無いことには前に進みません。
承認欲求も強いので、こまめに認めてあげないと、ストレスをどんどん抱えていきます。結果だけでなくプロセスも大事なのです。
いつもにこにこしていたのに、ある日突然、会社辞めます! とか言い出すのはサポータータイプに多いそうです(^_^;)
褒め方にもコツがあって、YOU型とI型があるそうです。
YOU型は「(あなたは)仕事の段取りが上手いね!」とか「(あなたは)ネクタイのセンスがいいね」など「あなた」が主語になるような褒め方。
一方、I型は「(わたしは)今回の件、本当に感謝しているよ」とか「(わたしは)いつも助かってます」など「わたし」が主語になる褒め方です。
サポータータイプはI型の褒め言葉を待っています。これを聞くとぐっとモチベーションが上がるのです。
アナライザータイプ
ひとことで言うと、冷静沈着慎重派で、分析することを好むタイプです。
じっくり状況を観察し、データを収集、それから行動を起こします。「とりあえずやってみよう」とはなりにくいです。
思いついたことをバーっと話す、ということはなく、慎重に言葉を選びながら話します。
なんといっても「正しさ」が重要なので、「最近どう?」という間口の広い質問をしてもアナライザータイプにとっては答えにくいのです。質問する際は範囲を狭めて、明確な聞き方がよいようです。
また、客観的に答えられる質問でないと、答えてくれません。主観的な話は苦手なのです。
褒めるときは単純におだててもダメです。その人の専門性を細かく評価することでモチベーションが上がります。
その他にも本書では、コントローラー上司がプロモータータイプの部下を持ったときどうすればいいのか、とか、プロモータータイプの上司がアナライザー部下のモチベーションを上げるにはどうすればいいのかといったケースを分かりやすく解説してあります。
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まとめ
本書は実は2002年に初版発行されており、2010年に電子書籍として発行されています。
意外と古くからあった考え方(といっても10年ちょっとか)なのですね。
著者もエンディング(あとがき)で記していますが、
以前はコントローラーやアナライザーと接するときには、アフリカの見知らぬ部族と話すようなものでしたから、表面的にはうまくいっている振りはしていましたけれど、どうにも理解出来ない部分というのがありました。「なんでそんなに結論ばかり求めるんだろう」とか「どうして、そんなどうでもよい細かいことばかりにこだわるんだろう」とか。
という感覚は、おそらく社会で仕事をしていれば、ほとんど誰もが感じているのではないでしょうか。
著者自身も、
少なくともわたしはこの考え方に出会って本当によかったと思っています。
と綴っています。
私も本書を読んでそれを強く感じました。
身近な人を思い浮かべながら、あの人はコントローラーかな、あの人はきっとサポータータイプだな、とか。
具体的な知り合いを想定しながら読むとより一層理解が進みます(笑)
冒頭でも述べましたが、人を4つにはっきりと分類できるはずもなく、分けたからと言ってその人が変わるわけではないです。
ただ、コミュニケーションは自分だけでなく、相手があって初めて成立するもの。
コントロールできるのは自分だけ(「7つの習慣」の第1の習慣:主体的である:影響の輪)なので、相手との関係性を変えたいのであれば、自分が変わるしかないですね。
そうしたときに、本書のような考え方がとてもよいヒントになると思いました。
4つのタイプ コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる[Kindle版]
- 作者:鈴木義幸
- 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2014-08-01
- 作者:鈴木 義幸
- 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009-12-20