【BOOK】『ブランケット・キャッツ』重松清:著 自分にとってのブランケットはどこに

2泊3日、猫のレンタル。
その猫専用の毛布(ブランケット)は絶対に無くしてはならない、洗濯してもいけない、人間が一緒に寝てはいけない、ショップが用意した餌以外は食べさせてはいけない、という厳格でシンプルなルールがある。
一方、人間側では、登場する誰もがフクザツな事情を抱えている。
子どもができない夫婦、いじめにを取り巻く小学生、リストラされてわが家を手放す父親などなど。
「これから」を模索する人々が、猫を借りて、何を思うのか。
せつなくて、かなしくて、ちょっとあたたかい、重松節のほろ苦い短編集。


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ブランケット・キャッツ (朝日文庫)

馴染んだ毛布とともに、2泊3日だけ我が家に
「ブランケット・キャット」がやって来る。

リストラされた父親が家族のために借りたロシアンブルー、
子どものできない夫婦が迎えた三毛、
いじめに直面した息子が選んだマンクス、
老人ホームに入るおばあちゃんのために探したアメリカンショートヘア――。

「明日」が揺らいだ人たちに、
猫が贈った温もりと小さな光を描く7編。

ブランケット・キャッツ (朝日文庫) | 重松 清 |本 | 通販 | Amazonより引用:

猫は神の使い

猫は古来から神格化されながら人間と共に暮らしてきた。
古くは約9500年前の農耕社会の始まりとともにあったという。
古代エジプトでは神として崇拝され、穀物庫のネズミ駆除役として重宝されたりもしたようだ。
その後、ヨーロッパでは中世になって魔女の使いとして迫害されたという歴史もあった。
夜行性で独立心が強く、暗闇で光る目を持つことから悪魔的と看做されたようだ。
日本では室町時代から「招き猫」に象徴されるように幸運をもたらす存在として愛されてきた。
ペットとして飼われるようになったのは産業革命後。
人間にとっては癒しや心の支えとなる存在として広まっていった。

7編の連作短編集という体裁の本作では、猫をレンタルできるペットショップがいずれの短編にも登場する。
2泊3日とはいえ、さまざまな事情で猫が飼いたくても飼えない人が実際に猫と暮らす体験ができたり、これから飼い始めるためのお試しとして利用するなどのメリットがある。
一方で、毎回見知らぬ人間と暮らす猫にとっては、ストレスであることは間違いない。

本作に登場する猫たちは、レンタル猫としての訓練を受けた、頭のいい猫たちばかりだ。

・花粉症のブランケット・キャット
 →三毛猫
三毛猫の見れば見るほど不思議な毛柄。三毛猫の柄は実は4種類ある? | 猫壱(necoichi)

・助手席に座るブランケット・キャット
 →メインクーンの黒猫
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・尻尾のないブランケット・キャット
 →マンクス
マンクスの特徴と飼い方 可愛い画像いっぱい|ねこのきもち 猫図鑑|ねこのきもちWEB MAGAZINE

・身代わりのブランケット・キャット
 →アメリカンショートヘア(ブラウンクラシックタビー)
アメリカンショートヘアの性格とは 特徴や人気の毛色、飼いやすさなどを紹介|猫図鑑|ペッツファースト公式サイト

・嫌われ者のブランケット・キャット
 →雑種
雑種の猫とは 特徴や毛柄の種類・ランキングも|ねこのきもちWEB MAGAZINE

・旅に出たブランケット・キャット(「さすらいのブランケット・キャット」改題)
 →アメリカンショートヘア(ブラウンクラシックタビー)

・我が家の夢のブランケット・キャット
 →ロシアンブルー
ロシアンブルーが飼いにくいとされる理由は?性格や瞳の色について解説 | 東京ECOいきもの図鑑

「旅に出たブランケット・キャット」のみ、猫視点での物語となっており、それ以外は猫が擬人化されていない。
猫は人間たちの言葉が分かるのか、そう思っているのは人間たちだけなのか。
さまざまな理由、さまざまな事情を抱えた人間たちに、寄り添い、呆れ、時に甘えた声で鳴く。

あなたにとっての「ブランケット」は

レンタルされる猫には、色々と決まりがある。
・ショップから提供されるエサ以外は食べさせてはいけない
・人間と一緒に寝ることはしてはいけない
・毛布(ブランケット)は取り替えないこと
・洗濯してもダメ
などなど。

レンタルされる猫たちは、小さい頃からこのブランケットを順繰りに使ってきており、これがあればどこにいてもぐっすりと寝ることができる。

人間は、それを見て、少し羨ましいと思う者もいる。
自分にとってのブランケットは、何なのか。
唯一、絶対的に安心できる、心の拠り所となるような存在が、果たしてあるのだろうか、と。

青春時代が過ぎ、中年期に差し掛かると、「自分が帰るべき場所」や「自分だけの安全地帯」とか、「無条件の受容」のような、揺るぎない場所が欲しいと切実に願うことも多いだろう。
あるいは、そういった存在そのものに、ハッと気づくことがあるかもしれない。

そんな時、猫はじっとこちらを見つめ、やがてプイッとよそを向いて行ってしまうのだ。
気まぐれな「神の使い」は、たいがいツンデレだ。

レンタル猫を題材とした作品

レンタル猫というビジネスが実際にあるのかどうか、調べてみると意外と多くあることに少し驚いた。
また、さまざまなメディアでもレンタル猫を題材にした作品があるようだ。

映画
  『レンタネコ』(2012年)
漫画
  『レンタルタマちゃん』(らくたしょうこ著、2023年)
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レンタルタマちゃん (H&C Comics ihr HertZシリーズ)


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ブランケット・キャッツ (朝日文庫)

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レンタネコ[DVD]
ブランケット・キャッツ (1)「身代わりのブランケット・キャット」 – 動画配信


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