
現代に生きる”忍者”も夜に強いどころか、眠らなくてもいいという特殊な能力を脈々と受け継いでいた。
超人的な身体能力をひた隠しに現代を生き抜く忍者の末裔・史奈はまだ高校生。
ある日突然、一族が暮らす集落が襲われ、その運命の歯車が動き出す。
バトルアクションとサイエンスフィクションが織りなす忍者エンタメ小説の第一弾。

梟の一族 (集英社文庫)
福田 和代(著)
サイエンス×忍者エンターテインメント!!
「外」の者との友情や愛情、隠してきた能力への科学的アプローチといった相反する価値観が、史奈という聡明な少女の中で無理なく一つに融合されていく。悠久を見渡し、変化を包み込むような一冊である。(「青春と読書」2019年3月号より)
北大路公子氏、感服!!眠らないことに加え、常人離れした身体能力を持つ梟の一族。彼らは歴史の陰で大きな役割を果たしてきた事実を秘密にして、身を隠すように生活していた。集落が何者かに襲撃され、全員が消えてしまうまでは。ひとり残されてしまった史奈は、一族の生存を信じて、また、今まで明かされなかった己のルーツに関する真実を知るために、襲撃者と戦い続ける。忍者×サイエンスエンターテインメント!!
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忍者を夜行性の動物である梟に見立てた物語、といえば司馬遼太郎の『梟の城』が有名。

梟の城 (新潮文庫)
遼太郎, 司馬(著)
信長に村を焼かれ両親を失った伊賀忍者・葛籠重蔵が、秀吉暗殺を目指す。
忍術を現実的に描写した先駆的作品で、忍者小説のリアリズムを確立。
1958年4月から1959年2月まで連載され、第42回(昭和34年/1959年)直木三十五賞を受賞。
36歳の時である。
そして、ほぼ同時期に『甲賀忍法帖』(山田風太郎:著)がブームを巻き起こした。

甲賀忍法帖 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎(著)
こちらはリアルと荒唐無稽が絶妙に融合した忍法バトル小説の金字塔。
徳川家の後継争いを背景に、甲賀と伊賀の忍者たちが超人的な忍法で死闘を繰り広げる。
忍者ブームの火付け役とも言われる名作として、後世の漫画や映画にも多大な影響を与えたとされている。
本作『梟の一族』はこれら2大名作を合わせたような、令和の忍者エンタメ作品として仕上がっている。

一族の暮らす集落は滋賀県の山深い村。
いわゆる限界集落である。
他の村とは関わりを極力持たないように、ひっそりと暮らしていた。
その集落で唯一の10代で高校生の榊史奈は、一族の末裔として、将来は一族の長として生きる運命を受け入れていた。
一族は夜は眠らないうえに超人的な身体能力を持ちながら、それを知られないように生活していた。
だが、ある日突然、何者かに集落が襲われる。
史奈が隠れている間に、一人が亡くなり、他の一族全員が忽然と姿を消した。
逃亡劇を繰り広げながら、徐々に真実に近づいていく史奈。
敵の目的は一体なんなのか。
謎の奇病の正体は。父と母の秘密とは。
やがて史奈は己のルーツの事実を紐解いていく。

もし、現代に忍者の末裔が生きていたら。
よくあるプロットであるだけに、相当な合理的な説明がなければリアリティラインは確保できないだろう。
本作では、忍者である「梟の一族」が「眠らない」という特性を科学的なアプローチで設定している。
決して派手に手裏剣を投げたり、爆弾の煙に紛れて姿を消したりはしない。
(水遁の術的なシーンは少しあった)
こうした忍者小説としてのリアリズムと同時に、謎めいた「敵」の存在があり、バトルアクションも展開される。
派手な忍法バトル、というわけではないが、それだけに硬派なテイストが全編にわたって味わえる。
また、主人公・史奈は高校生ながら非常に落ち着いており、すでに大人びているが、一族の長としての覚悟と己のルーツを辿ることで、彼女の成長物語としても読める仕上がりとなっている。

続編がすでに3作「梟の胎動」「梟の好敵手」「梟の咆哮」が発表されている。

梟の一族 (集英社文庫)
福田和代(著)

梟の胎動 (集英社文庫)
福田 和代(著)

梟の好敵手 (集英社文庫)
福田 和代(著)

梟の咆哮 (集英社文庫)
福田 和代(著)
