【BOOK】『推し、燃ゆ』宇佐見りん:著 生きづらさを受け入れるために
なんという瑞々しい文体だろうか。
冒頭からその若さが溢れ出ている。
“推し”のアイドルがファンを殴ったという情報がSNSで拡散し炎上する、という風景から物語は始まる。
推しに全ての時間、アルバイト代、興味関心を捧げた先に彼女は何を見たのか。
希望と絶望との狭間で揺れ動く幼年期の終わりは来るのか。
第164回芥川龍之介賞受賞作。
宇佐美ではなく宇佐見、『推し燃ゆ』ではなく『推し、燃ゆ』である。
本作が2作目で、史上3番目の若さでの芥川賞受賞ということで話題になった。
デビュー作『かか』は2019年に第56回文藝賞を受賞、2020年に第33回三島由紀夫賞を史上最年少受賞している。
こういう人を「天才」と呼んでも差し支えないだろうと思う。