【TVドラマ】2024冬(1月開始)ドラマ鑑賞後感想メモ


2024年1月開始ドラマの感想メモである。
最後まで見たドラマは今季は9作品であった。(まだ最終回を迎えていないものは含まず)

先んじてドラマ開始前時点でリストアップしているが、

ここでは原則として最終話まで観たものをピックアップしており、途中離脱したものは除いてある。
なお、今季は見た直後にメモがてらX(旧Twitter)にポストしたものもある(してないものもある)ので、それらをピックアップしておく。

●月曜日

『春になったら』


2024年1月15日スタート 毎週月曜夜10:00-10:54/フジテレビ系
奈緒と木梨憲武がW主演を務める、笑って泣けるハートフル・ホームドラマ。3カ月後に結婚する娘・瞳(奈緒)と、余命を宣告され3カ月後にこの世を去る父・雅彦(木梨)が、「結婚までにやりたいことリスト」と「死ぬまでにやりたいことリスト」を実現していく3カ月間を描く。脚本家・福田靖のオリジナル作品。
【公式サイト】

ドラマ開始時点で「今季最高」と感じたのは間違いなかった。最高だった。
徐々に死に向かう父と新しい家族を迎えようとする娘の切ない3ヶ月。
幸せとは何か、と毎週噛み締めながら見ることになるとは。
そして、3ヶ月後の3月25日、娘・瞳の誕生日という設定で結婚式という流れ。
この日はドラマ放映最終回の日。
ドラマとリアルをシンクロさせて、本当にこの父娘が東京の下町に住んでいるんじゃないかと思わせる、そんな演出。

ラストの、ちょうどいいところで流れる主題歌もいい。

やはりこんなにも「いいドラマ」だと感じられたのは、登場人物を含めた世界観が丁寧に作り込まれていたからだろう。
東京の下町、鳥居があって山道に面して家が立ち並ぶ住宅街。
ラストでの結婚式(人前式)にちょうどよく川の堤防の段差があって、一段高いところで結婚を誓い合うふたり。
全てがピタッとはまっていて、実に心地よい。
こんなにちょうどいいロケ地はそうそうないだろうから、かなり探し回ったのだろう。
映像の色味もとても雰囲気があって良かった。
カラーグレーディングは誰がやっているんだろうか。
キャスト、スタッフがしっかりと自分の仕事をして作られたドラマは、良い雰囲気が映像からも伝わってくるのだと改めて思った。

続編を期待、というわけにはいかないストーリーだけに、とても切なく余計に愛おしい。
文句なくとても良いドラマだった。

●水曜日

『となりのナースエイド』


2024年1月10日スタート 毎週水曜夜10:00/日本テレビ系
川栄李奈が“医療現場の縁の下の力持ち”ナースエイドを演じる病院ライフエンターテインメント。ナースエイドは医療行為は一切許されないが、患者の食事や排せつ、入浴の補助など最もパーソナルな時間を共有する。そんなナースエイド・桜庭澪(川栄)が、謎に包まれた天才外科医と患者たちの問題を解決していく。
【公式サイト】

中盤からややだれた展開が続いたため脱落しそうになったが、なんとか最後まで見届けた。
当初はコメディ色が強かったのだが、徐々にミステリー色が強くなっていくのだが、ところどころでコメディ色が差し込まれていて、メリハリは効いていたのだが、中盤は川栄李奈の険しい表情が続いてしまい、見ていて飽きがきてしまった。
とはいえ、本作は川栄李奈だからこそ成立したと言っても過言ではないだろう。
他に誰ができるだろうか。
主人公然とした雰囲気をしっかりと持った女優ならではの座長ぶりだったと思う。

本作で最も注目すべきは、女性ピン芸人の吉住の存在感である。
コント師なのでやはり演技は上手いし、独特の雰囲気を持っている。
配役も癖が強いキャラクターで、ピッタリと合っていた。
今後いろんなドラマに出演しそうである。

●木曜日

『グレイトギフト』


2024年1月18日スタート 毎週木曜夜9:00/テレビ朝日系
反町隆史主演、黒岩勉脚本のオリジナルドラマ。完全犯罪を可能にする殺人球菌“ギフト”を巡るノンストップサバイバル医療ミステリー。うだつの上がらない病理医・藤巻達臣(反町)は、ある患者の不審死をきっかけに未知の殺人球菌「ギフト」を発見。そこから藤巻は、殺人球菌を巡る陰謀の渦に巻き込まれていく。
【公式サイト】

4話まで見ていてちょっと飽きが出てきて、一応念のため5話を見て面白くなかったら脱落、と思っていたところ、第5話で第ドンデン返し発動。
今までのはなんだったんだ、と一気に面白くなった。
さすが黒岩勉脚本である。
しかし、ところどころで「それはちょっと無理があるんじゃ…」という展開もあったし、何よりラストで続編やる気満々なのがいやらしかった。
評判はそこそこ良かったから続編の企画が立ち上がったのだろうが(もちろん推測だが)、あからさまにやるのはどうなのか。
こういうのはもっとどっちつかずに見えるようにしなければ。
とはいえ、覇気の無い反町隆史を存分に見れて面白かった。

●金曜日

『院内警察』


2024年1月12日スタート 毎週金曜夜9:00-9:58/フジテレビ系
酒井義、林いちによる漫画「院内警察 アスクレピオスの蛇」を原作とした医療エンターテインメント。病院内に実際に存在する“院内交番”を舞台に、抜群の洞察能力を基にしたプロファイリングスキルを持つ敏腕の院内刑事・武良井(桐谷健太)と、若き天才外科医・榊原(瀬戸康史)の“正義”がぶつかり合う。
脚本:天本絵美(『ブスと野獣』、『世にも奇妙な物語』他)
【公式サイト】

中盤以降は惰性で見ていた。
ストーリーはもっと面白くなりそうなのに、やたらと屋上で佇むシーンがあったり、キャラクターは多く登場するのにイマイチ重要ではなかったり、全体的にチグハグなバランスだったように思う。
特に屋上で語り合ったりするシーンがほぼ毎回あったが、いかにもなドラマ的シーンというか、マンガ的な表現もしつこさが感じられてしまって残念だった。
桐谷健太の役柄がもっとぶっ飛んでいても良かったのに、意外と真面目なキャラクターだということが判明してからは、面白みが半減したことは否めない。

『不適切にもほどがある!』


2024年1月26日スタート 毎週金曜夜10:00-10:54/TBS系
阿部サダヲ主演の“意識低い系タイムスリップコメディー”。ひょんなことから1986年から2024年の現代へタイムスリップしてしまった“昭和のおじさん”小川市郎(阿部)が令和では考えられない不適切な言動を繰り返していく。共演は仲里依紗、磯村勇斗、吉田羊ら、脚本は宮藤官九郎が手掛ける。
【公式サイト】

久々の宮藤官九郎脚本の地上波連続ドラマである。
期待しないほうがおかしい。そして裏切らない。いや、いい意味で毎回裏切られているが、それがまたいい。
平成直前の昭和のあの頃と、あらゆる方面で閉塞感漂う令和の時代を対照的に描きながら、どちらがいいというわけではなく、どちらにも良い面悪い面があることを視聴者に提示しまくり、「話し合いましょう」と高らかに歌い上げる、クドカンにしか描けないワールドである。

昭和のダメだったところを論いつつ、現代(令和)の生きづらさを描く。
決して昭和礼賛ではなく、かといって令和を絶賛するわけでもなく。
どの時代にもいいところやダメなところがあり、その中でしか我々は生きていくしかないわけで。

思うに、昭和と令和をとことん描きながら、このドラマは実は平成を浮き彫りにしているのではないだろうか。
昭和のうるさくて猥雑な空気と令和の風通しの悪い空気を対比させながら、平成という「失われた」時代を振り返って、どういう時代だったのかを感じさせる意図があったのではないだろうか。
いや、意図はなかったかもしれない。
だが結果的に「失われた」平成という時代が、昭和という時代のフェードアウトであり、令和という時代のフェードインであったかが浮き彫りになったのではないだろうか。

とにかく毎週が楽しみで、見て笑ってちょっと考えさせられて。いいドラマだった。

『お別れホスピタル』


2024年2月3日スタート <全4話>毎週土曜夜10:00-10:49/NHK総合
沖田×華のコミックを岸井ゆきのと松山ケンイチの共演でドラマ化。末期がんなど重度の医療ケアが必要な人や、在宅の望めない人を受け入れる“療養病棟”を舞台に、看護師の辺見(岸井)と非常勤の医師・広野(松山)が死と向き合っていく。脚本は、「おかえりモネ」(2021年、NHK総合ほか)の安達奈緒子が担当。
【公式サイト】

日本のドラマは尺やクールが予め決まっていて、それに合わせて脚本が作られる。
そうするとどうしても中弛みの回が生まれてしまったりして、可処分時間に限りがある人はすぐに離脱してしまう。
視聴者側としては何も全10話でなくても、面白い物語であれば何話であろうと構わないのだが、テレビ局とスポンサーのビジネス的にはやりやすいフォーマットなのだろう。
だが、NHKは別だ。
このところNHKのドラマは秀逸なものが多い。
本作『お別れホスピタル』も全4話という構成であったが、十分に世界観を堪能できた作品だった。
大きなテーマとしては死をどう受け入れるか、という重いものがあった。
入院している者はほとんどが快方に向かうことなく緩やかに死を受け入れていく。
それらを看護し、看取る側にもそれぞれの人生があり、時には死そのものと向き合わざるを得なくなる。
すんなりと割り切れることばかりではない。
自覚がないままに重い気持ちを抱えすぎて身体を壊すこともある。
それでも仕事に誇りを持って取り組む姿勢や、ほんのわずかな希望の芽が垣間見得たりもして、ドラマの後味は全く悪くない。
こうした良質なドラマをもっと見たいと思う。

『ドラマ 地球の歩き方』


2024年1月13日スタート 毎週土曜深夜0:00-0:30ほか/BSテレ東ほか
海外旅行のバイブル「地球の歩き方」とコラボしたオリジナルドラマ。4人の旅好き芸能人が「地球の歩き方」編集部から特集を組んでほしいと依頼を受け、それぞれ韓国、タイ、サイパン、ニュージーランドへ旅立つ。彼らは実在の人物に話を聞いたり、実在の場所を訪れたりしながら、特集ページを完成させていく。
【公式サイト】

あの「地球の歩き方」がドラマになる。
一瞬なんのことを言っているのか分からなかった。
「地球の歩き方」といえば誰でも知っている旅行バイブルである。
旅行情報誌がどうやったらドラマになるのだろうか。
誰もがこう考えたに違いない。
それでも、なんだか面白そう、とも思った人も多かっただろう。
疑問は見れば、ああそういうことか、と分かってくるだろう。

『アイのない恋人たち』


2024年1月21日スタート 毎週日曜夜10:00/テレビ朝日系
主演・福士蒼汰、脚本・遊川和彦で、2024年の東京を舞台に恋愛偏差値が低いワケあり男女7人が織り成す愛の物語を描く。アラサーの彼らは、それぞれの理由により恋愛と距離を置き、恋人もいない状況。福士は、心から人を愛することからも、愛されることからも逃げているため「愛がない男」と呼ばれる脚本家・久米真和を演じる。
【公式サイト】

みんな大好き遊川和彦脚本である。
今回はどんな変化球で来るのか、と身構えていたのだが、蓋を開けてみるとド直球の恋愛群像劇であった。
いや、直球主体ではあったものの、カットボールくらいはあったかもしれない。
主人公は若手の売れない脚本家、ということは若き日の遊川さんだろうと想像しないわけにはいかない。
30歳を過ぎて恋愛に縁遠いという設定だが、今はそういう時代なのかもしれない。
やることが多すぎるし、やりたいことも多すぎる。
自分の時間を大切にし過ぎて、気づけば恋愛のない日々を送る自分に嫌気がさす…。
どうしたって人は1人では生きていけない。
そこに気づいていながら気づかないフリをして生きていく人生は、果たして本当に幸せなのだろうか。
毎週のように出てくる名台詞も、さすが遊川さんらしくてとてもいい。

『さよならマエストロ 〜父と私のアパッシオナート〜』


2024年1月14日スタート 毎週日曜夜9:00-9:54/TBS系
西島秀俊が主演を務める、不器用な父親と素直になれない娘の親子の愛の物語。才能あるマエストロだが、音楽以外の能力はゼロな父親・俊平を西島、父親とは真逆で音楽を嫌い、音楽のない人生を送ってきた響を芦田愛菜が演じる。また、脚本は「凪のお暇」(2019年、TBS系)などを手掛けた大島里美氏が担当。
【公式サイト】

安定の日曜劇場である。
ラストの怒涛の伏線回収はお見事であった。
こんな綺麗な脚本はなかなかない。
父と娘のドラマなので、毎週楽しみにハラハラしながら見ることになった。
毎週、不機嫌な芦田愛菜を見るのはちょっと辛かったが、各話ごとにクラシックの名曲のテーマやエピソードなどとリンクした家族のいざこざがあり、大きな流れでは父と娘の仲がどうやって戻るのか、を見守るという複層的な構造で飽きさせない作りが良かった。
さすがに高校まで野球ばかりやっていた少年が突然音楽に目覚めるとかはあり得なさすぎてポカーンとなったが、それ以外は魅力的なキャラクターたちやストーリーでグイグイと引き込まれていった。
続編もできなくはないだろうし、SP版とかやりそうで楽しみである。

さて、春はまた新しいドラマに期待である。


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春になったら Blu-ray BOX [Blu-ray]
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TBS系 日曜劇場「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」オリジナル・サウンドトラック
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アイのない恋人たち 公式シナリオブック (TOKYO NEWS MOOK)
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J00 地球の歩き方 日本 2023~2024 (地球の歩き方 J 00)

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