【MOVIE】2022下半期に観た映画感想メモ


今年も早いもので終わりである。
上半期のまとめを書いたので、下半期も書く。
なお、ネタバレ前提で書くのでご注意されたし。
★の評価は観終わった直後の気分でつけているので、参考になるのかならないのかはあなた次第なので文句を言われても知らぬ。

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ーーーーーネタバレ注意ーーーーー
ネタバレ注意

『ムーンフォール』

2022/10/09
★1.5


大金をぶっ込んだのだろうが、いろいろと中途半端で残念な仕上がりだった…。
月が実は巨大建造物だったという説から内部に侵入し、高度な知的生命体に〜という展開が見えてしまい、伏線の回収もなあなあなまま、あー終わっちゃったよ…という感じだった。
正直130分もかけてこれはちょっと、と思った。
冒頭の月の軌道が変わってる〜というくだりまでが長過ぎると思う。
ばっさりカットして、どうやって月の軌道を変えるか、を描いたほうが良かったのでは無いか。


『エリジウム』

2022/10/10
★3.9


世界観として超富裕層と貧困層とが完全に二分されている感じの作り込みはかなり上質で、一気に引き込まれた。
辛かった幼少期の中で数少ない楽しかった思い出を捨て切れず、最後には自分の命を引き換えに世界を救う、という「ザ・ハリウッド」なストーリー自体はありふれたものだ。
それを補うような俳優の演技力とVFXの作り込みとアクションで押し切った感はある。
だが総じてクオリティが高く、個人的には大好きな映画。
無粋だがどうしてもツッコミたいのは、どんな病気もスキャンして一発で治すほどの科学技術が発達しておきながら、プログラム入力がキーボードなの…? とか。
せめて音声入力とか、思考したらテキスト化されるとか、と思っていたら、この映画2013年公開と知り逆にびっくり。
当時としてはかなり攻めた演出だったのだな。
他には、スペースコロニーエリジウムにはあんなに簡単に侵入できちゃうのはやばいだろ、防衛装置はないの? とか。
エリジウム内の政治的腐敗のドロドロした人間模様とかは割愛されたのかな? とか。
あと、ドロイドの動きがまんま『チャッピー』だったな。『チャッピー』も良かったのでオススメ。


『インフィニット 無限の記憶』

2022/10/11
★3.5


肉体は死んでも魂は何度も生まれ変わる輪廻転生という設定が面白い。
東洋的な思想とハリウッド手法をなんとかうまくミックスさせたかったのだろうという気概は感じた。
(ただ多くのハリウッド作品と同様に、日本と中国の区別があまりできていない)

前世の記憶を持つ“インフィニット”は二つの勢力に分かれている。
その特殊な能力を人類のために役立てようとする「ビリーバー」と、すべての生物を根絶やしにして、輪廻転生を終わらせようとする「ニヒリスト」たちの戦い。

冒頭から前世のシーンや回想シーンなどが多く、またそれぞれの説明は最小限になっていたので、やや話が分かりづらく感じた。
セリフ回しや出てくる単語など、欧米間の歴史や文化をある程度わかっていないと何のことについて言っているのかよくわからないと感じられる展開が続いた。この前半で脱落してしまう人が多いのではないかと危惧される。

やがて両者は「エッグ」と呼ばれる装置を奪い合うことになる。ニヒリストたちはエッグを使って人類を滅亡させようとしている。
ただこのエッグの機能やどんな凄いものなのかという点がいまいちよくわからなかった。

さらに、ニヒリストたちは、特殊な弾丸を使って、ビリーバーたちの魂を閉じ込め永遠に転生できないようにしている。
ニヒリストのボスであるバサーストは、もう輪廻には疲れたと言っているので、この特殊な弾丸で魂を封じ込めればよかったのではないかとちょっと思ってしまった。

後半は、それぞれの登場人物たちが何を目的に行動しているのか、何を求めているのかがわかりやすくなり、またアクションも畳み掛ける展開。飽きさせず、一気にラストまで楽しめた。

何らかの伏線があって、最後に回収してカタルシスを得る、というような展開は無い。
この作品の本質的なテーマはそういった部分ではない。

前世の記憶を持ち続けることや、輪廻転生するという設定から、人は自分が自分であるということをどのように確認するのか、自分が自分であることをどうやって確信できるのか、という実は深いテーマがあるのではないかと思った。

結局のところ、自分1人が考えていただけでは、自分が何者であるかという事はあまり意味を持たない。
他者と関わるなかで、自分がどんな役割を担えるのか、自分は何ができるのか、自分は何を考えているのか。
他者との関係性の中でしか自分というものは確認できない。
人間は、鏡のように反射するものがなければ、自分の顔を見ることすらできない。
自分以外のものを通してでしか自分を見ることができないのだ。

冒頭のシーンで主人公が就職の面接に出向くシーンがある。
そこで、過去の犯罪歴などを突かれ、そんなことで俺をわかった気になるなよと啖呵を切るシーン。
この段階では、まだ主人公は自分がビリーバーであることをわかっていない。
自分で自分のことがわかっていない(だから就職もうまくいかない)ということを象徴するシーンだ。

自分自身の違和感のある記憶の断片と仲間たちからの説明により、運命的なものを感じて、自分はビリーバーであると言うことを確信する。
仲間がいなければ自分も存在し得ない。
だから仲間のために戦う。
この点はぶれていないことで、この映画は成立している。


『パッセンジャーズ』

2022/10/16
★3.0


パッセンジャーズ、通り過ぎる人々、という意味でよかったのだろうか。
つまり、成仏できなかった人、自分の死を受け入れることができなかった人、現世にやり残したことがある人などが、受け入れる準備ができたら「お迎え」として大切だった人たちが「通り過ぎる人々」として現れる、ということか。

前半はキモい男とそれに振り回される美女の話。
中盤から終盤にかけて謎が謎を呼び、訳がわからなくなる。
アン・ハサウェイじゃなかったら離脱していただろう。
終盤、突然に「あ、そういうことか」と分かる瞬間が訪れる。
ちょっと遅過ぎるのではないだろうか。
ほとんどラスト近くである。
アン・ハサウェイじゃなかったら離脱していただろう。

人生はこの先どうなるかは誰にもわからない。
だから今この一瞬を大切にしよう。


『新聞記者』

2022/10/31
★3.0


作品の内容から察するとリアルな描写が多いのかなと期待したが、かなり叙情的な演出が目立った。
実際の新聞記者があのように正義感に溢れているかどうかは疑問だし、編集部の上層部から圧力がかかって、記事の内容が変わる、といった描写もややあからさますぎるような気もした。
また、カメラワークで、おそらく不安感を表すためだと思うが、ゆらゆらと揺れるようなカメラワークが多用されていて見ていてちょっと酔いそうになった。

内閣府の内定調査の部署「内調」の描写も、あんなに薄暗いところでやるはずがないし、そもそもあんなに大人数でTwitterに書き込みをしたら、特定のIPアドレスから大量に投稿されていると判断されて、アカウントが凍結されたりするのではないかと思う。
なんというか、悪の秘密結社のような見せ方がされており、政治的な偏見がかなり強く入っているようにも感じた。
よくSNSなどで陰謀論を展開しているような人たちが語っているような内容に見えてしまった。

そういった些細だけれども、リアリティーに欠ける描写や演出が多く、ちょっと入り込めなかった。
それでもテーマとしては、非常に重要なテーマを扱っていると思う。
マスコミのだめなところをマスを相手にした商業映画で描くということ自体が、日本では画期的な取り組みだと言える。

ただどうしても、女性新聞記者役のシム・ウンギョンの演技が(好みの問題もあるが)うまくはまっていないように感じた。
帰国子女だったり、ハーフだったりと言う設定があるにせよ、そういった属性では、取材をする時にもかなり目立つはずなので、やはり現実感がない。

日本独特のマスコミの体質を外国人目線で見て捉えて、それにより特異性をあぶり出そうと言う意図はわからなくはないが、どうしても無理があるように感じた。

ラストもやや不満が残る。現実の実際の事件をもとに創作されていることもあって、はっきりした結論やわかりやすい終わり方にすることが難しいのはわかる。
ただそれでもなんだかよくわからないうちに終わってしまったという感触は残る。
もう少し何らかのセリフや言葉で見る人に考えるためのヒントを残してもよかったのではないか。


『21ブリッジ』

2022/11/14
★3.2


真夜中のニューヨーク・マンハッタンで強盗事件発生。警官が多数殺される惨事が起こった。
犯人を追い詰めるため、マンハッタンにかかる21の橋全てを封鎖する、という設定だけで観たくなる。

主人公・ニューヨーク市警の85分署デイビス刑事は父が警察官だったが殉職した過去をもつ。
つまり警官殺しには人一倍敏感に反応する、という印象を視聴者に持たせながらも、デイビスは二人の犯人の内、一人を「殺さずに」捕まえようとする。
だがなぜか85分署の他の警官は犯人を射殺しようとする。
こうした「ちょっとした違和感」をチラ見せしつつストーリーが進んでいくところがうまい。

最後に犯人が捕まって一件落着、なわけがなく、実は・・・という伏線回収もアクションを絡めつつあり、「本当の正義とは何だ」を問う、良作。

アメリカ特有の、二大政党政治がもたらす、インフラの貧弱さが生んだ悲劇とも言える。
治安・消防・医療・教育など、長期にわたって安定的な指針のもとに整備しなければならない社会インフラ系が、二大政党政治であるが故に安定せず、結果的に貧弱なまま置き去りにされているという社会構造を知った上で見ると、なるほどそうなる可能性はあるよね、という感想も抱かざるを得なかった。

あらためて、正義とか正しさというものは、絶対的なものではなく相対的なもので、思ったほどしっかりとはしていないというか、フワフワとした頼りないものなのかもしれないと思った。


『シン・ウルトラマン』

2022/11/23
★4.6


こちらはブログに書いた。


下半期は7本。
月1本換算は感覚値よりもかなり少なかったように思う。
来年はもう少し観たいが、観る時間を割いてもいいと思える映画が今はやや少ないかな、という印象。
そろそろ映画館にも通いたい。
もう少しコロナが収束してくれれば。

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