【TVドラマ】2023春(4月開始)ドラマ鑑賞後感想メモ

people dancing on street at daytime
Photo by Nadim Merrikh on Unsplash

【TV】2023年春(4月期)ドラマ メモ #TVドラマで開始前にリストを投稿した。
4月期ドラマが完結したので鑑賞後のレビューを書いておく。
最終話まで追いかけたのは8作だった。

■朝ドラ2023年前期

『らんまん』


2023年4月3日スタート 毎週月曜〜土曜朝8:00-8:15ほか/NHK総合ほか
神木隆之介主演で、明治時代、ひたすら愛する草花と向き合い続け、生物の多様性を肯定し続けた植物学者の物語。実在の人物・牧野富太郎をモデルに再構成し、フィクションとして描く。脚本は「群青領域」(2021年、NHK総合)、「旅屋おかえり」(2022年、NHK BSプレミアム)を手掛けた長田育恵。

引き続き鑑賞中。主人公・万太郎の周りのコミュニティがちょうどよいテンポで変わっていくことで飽きさせない展開。コミュニティに出会った当初は反目していた人たちが、万太郎の熱意や直向きさに感化されていき、やがて心強い仲間となっていく様子は、まさにジャンプシステムである。
現時点では万太郎と寿恵子が結婚をし、新しい生活をスタートさせる、といった段階だ。

●月曜日

『風間公親−教場0−』


2023年4月10日スタート 毎週月曜夜9:00-9:54/フジテレビ系
木村拓哉主演の“教場シリーズ”の最新作。木村演じる風間公親が教官として警察学校に赴任する前に、新人刑事の教育をする“刑事指導官”をしていた時代を描く。風間は、バディを組んだキャリアの浅い若手刑事に刑事としてのスキルを教え、さらに、後輩刑事の抱えるさまざまな秘密やトラブルを見抜いていく。

各2話ごとにゲスト俳優をフューチャーした構成は、連続ドラマの「飽きさせない戦略」の最新版である。だがしかし、肝心のストーリーにおいてあまりにも「これはないだろう」が繰り返されることで、壮大で超絶シリアスなコントを見ているような錯覚に陥る。もう少し「現実にはないけどいかにもありそう」なトリックにしてほしい。
当初から木村拓哉の演技に注目が集まっていた。「木村拓哉は何をやっても木村拓哉」という言葉通り、目新しく新鮮な印象があった風間教官の風貌や演技であったが、事件現場に到着してほとんど調べもしないのにほぼ犯人を確信したり、トリックを見破ったりといった「超人ぶり」が、まさに木村拓哉は木村拓哉以外にありえない、を増長させている要因でもある。

『合理的にあり得ない 〜探偵・上水流涼子の解明〜』


2023年4月17日スタート 毎週月曜夜10:00-10:54/フジテレビ系
柚月裕子による小説をドラマ化。頭脳明晰(めいせき)で変装の達人である探偵・上水流涼子(天海祐希)が、IQ140の貴山伸彦(松下洸平)とタッグを組み、さまざまな依頼を超大胆な方法で解決していく。また、元弁護士の上水流は、弁護士資格を剥奪されたきっかけである傷害事件、貴山は家族との確執にも立ち向かう。

4話あたりまではなんとか見ていたものの、どうにもコミカル要素が多めであったため、脱落してしまった。
天海祐希の女優力をもってすればどんな役柄もこなしてしまうことの証左でもあるが、やはり天海祐希にはシリアスな役柄が似合うと思う。『女王の教室』のようなコールドビューティーが似合うと思う。

●火曜日

『unknown』


2023年4月18日スタート 毎週火曜夜9:00-9:54/テレビ朝日系
高畑充希と田中圭がW主演を務める、秘密を抱えた男女の愛を描く本格ラブサスペンス。平和な町で暮らし愛を誓い合った週刊誌記者エース・こころ(高畑)と熱き交番警察官・虎松(田中)はそれぞれ重大な秘密があり、結婚に踏み切れずにいた。そんな中、ある事件をきっかけに二人の秘密が交錯していく。

第1話で脱落。「秘密を抱えた男女」の秘密が実は○○○でした、というのは正直ずっこけた。もう少し、現代の社会問題にも絡めたテーマ性があると勝手に思い込んでいたこちらが悪いのではあるが…。

●水曜日

『それってパクリじゃないですか?』


2023年4月12日スタート 毎週水曜夜10:00-11:00/日本テレビ系
奥乃桜子の「それってパクリじゃないですか?〜新米知的財産部員のお仕事〜」を芳根京子主演でドラマ化。飲料メーカーで働く亜季(芳根)は、ある情報漏えいをきっかけに、知的財産のプロ「弁理士」の資格を持つ上司・北脇(重岡大毅)とタッグを組む。二人は、知的財産を巡って巻き起こるさまざまな問題に立ち向かう。

「知財」というニッチなテーマでどこまで話が広がるのだろうかと心配していたが、意外と話は広がって、しかもなかなか面白い。基本構造は各話ごとに耳慣れない業界用語がキーワードとして立てられ、登場人物たちに絡めて展開される。ドラマ全体での縦糸としての「謎」が少しずつ解明されつつ、最後には大きなどんでん返しがある、という連続テレビドラマのお手本のような構成。最終話にかけて飽きさせない展開で盛り上がりつつ、ラストは視聴者がほぼ全員満足するであろうというオチで締め食いくられた。鑑賞後の満足感はかなり良い。

●木曜日

『勝利の法廷式』


2023年4月13日スタート 毎週木曜夜11:59-0:54/日本テレビ系
子役出身の女性弁護士と脚本家がタッグを組み、現代社会の闇を暴くリーガルミステリー。親友を冤罪から守れずトラウマを抱えていた弁護士・神楽蘭(志田未来)は、ある時謎の男・黒澤仁(風間俊介)と出会う。黒澤が書く“台本”の力を借りて弁護士を再開した蘭は、依頼人のために奮闘しながら、親友の事件の謎に迫っていく。

3話くらいで脱落。1話から構成がほぼ同じに感じられ新鮮味がなかった。ストーリー自体も荒唐無稽すぎて、作品世界に入り込むことが難しい。

●金曜日

『弁護士ソドム』


2023年4月28日スタート 毎週金曜夜8:00/テレビ東京系
福士蒼汰が主演を務める“詐欺加害者専門弁護士”が主人公のリーガルサスペンス。周囲から「ソドム」と呼ばれる型破りな弁護士が、弱者を食い物にする詐欺加害者の味方をして裁判で勝たせていく。福士は、金のために詐欺加害者に手を貸すと言われる弁護士・小田切渉を演じる。また、脚本は泉澤陽子が担当。

期待値が低かったからか、なかなか楽しめた。詐欺師ばかりを専門とした弁護士、という設定に吸引力がある上にその設定の理由が徐々に明かされていく。母親の死と父親の失踪の謎という全体を通した謎を追いつつ、各話ごとに詐欺師を落としていく展開。少々マンネリ化しそうではあったが、脇役の動きなどでどうにかカバーしてきた感じ。
ただ、最終回での諸々の回収において、母親の死の真相のあたりや黒幕の正体など、予想がついてしまっていた点でやや盛り上がりに欠けた感は否めなかった。

『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』


2023年4月21日スタート 毎週金曜夜10:00-10:54※初回15分拡大/TBS系
山田裕貴主演で描く予測不能なヒューマンエンターテインメント。いつもと変わらない一日を迎えるはずが、都心へと向かう電車の一両が未来の荒廃した世界にワープしてしまう。偶然か運命か、乗り合わせていた乗客たちによる、生き抜くための“サバイバル生活”が幕を開ける。脚本は、金子ありさが担当する。

このSF的テーマで毎週のテレビドラマでどこまでやりきれるか、という点が見頃。極限状態に置かれた人間模様を描く場合、大抵はかなりグロテスクにリアルに振り切って描かれる事が多い。それはやはりどうしてもリアリティを突き詰めないと作品世界に引き込めないからで、しかしそれにはかなりコストがかかる。そのコストとリアリティの追求というバランスをうまく調整しているように感じた。実際にこんな状況になったら、間違いなく力が強い者が弱い者を蹂躙し、力による支配のコミュニティになるはず。そうではない世界、たとえて言うならば『十五少年漂流記』のような世界観として見るのが正解のような気がする。
とはいえ、ラストはなんというか、あっけないというか、モヤッとする終わり方ではあった。何かが決定的に暴かれるとか決まるとか、答えとか正解とか、そういったものをふわっとさせたまま終わらせたというか。これは意図的なのだろうが、やはりふわっと感は最後まで残った。

『波よ聞いてくれ』


2023年4月21日スタート 毎週金曜夜11:15-0:15ほか/テレビ朝日系
沙村広明の同名漫画をドラマ化。小芝風花演じる破天荒なラジオパーソナリティー・鼓田ミナレの活躍を描く。スープカレー店でアルバイトをしていたミナレは、彼氏に振られた上に金もだまし取られてしまう。そんなミナレは、やけ酒をし、見ず知らずの男性に愚痴をこぼす。一方、男性はミナレのある素質を見いだしていた。

超絶滑舌のいいラジオパーソナリティを小芝風花が演じるというだけで見始めたが、なかなか、かなり面白い。正直、まったくストーリーの展開が読めないし、何が面白いのかも分からないまま最終話まで見た。不思議な作品。

●土曜日

『Dr.チョコレート』


2023年4月22日スタート 毎週土曜夜10:00-10:54/日本テレビ系
秋元康が企画・原案を務める“ノンストップ・ドクター・エンターテインメント”。第9回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリの白山乃愛がドラマ初出演。謎多き義手の元医者・哲也(坂口健太郎)と、天才的オペスキルを持つ10歳の少女・唯(白山)が、現金1億円とチョコレートを条件に極秘手術を請け負う。

意外とこういうのは嫌いじゃない。むしろ好きな部類かもしれない。医療モノであり、且つ、バディモノでもあり、漫画的なパッケージングが非常に高いレベルでバランスのとれた作品だと感じた。木村拓哉は何をやっても木村拓哉だが、実は坂口健太郎も何をやっても坂口健太郎であることに気づいた(褒めている)。子役の白山乃愛が非常にいい演技をしている。芦田愛菜を超えるかもしれない。

●日曜日

『ラストマン−全盲の捜査官−』


2023年4月23日スタート 毎週日曜夜9:00-9:54/TBS系
全盲の人たらしFBI捜査官と、犯人逮捕のためには手段を選ばない孤高の刑事がバディを組んで難事件に挑む姿を描く完全オリジナルドラマ。警察庁人材交流企画室の室長・護道(大泉洋)は、アメリカから期間限定で交換留学生として来日したFBI特別捜査官・皆実(福山雅治)のアテンドを命じられる。

安定のザ・日曜劇場という感じだが、決して無難なだけではなく、むしろ攻めているのに面白いというレベルの高いドラマだ。
刑事モノ且つバディモノで、これに加えて「全盲のFBI捜査官」という味変があるという贅沢な構造。コミカルな部分とシリアスな部分とのバランスが絶妙。
ラストへ向けての盛り上がりも見事。
ラストマンというタイトルにふさわしい結末に涙せずにはいられない。

『だが、情熱はある』


2023年4月9日スタート 毎週日曜夜10:30-11:25/日本テレビ系
若林正恭と山里亮太の半生を、高橋海人と森本慎太郎主演でドラマ化。次々と湧き上がる「負の感情」を燃料に、いばらの道をもがき苦しみながら突き進む“極度に人見知りな超ネガティブ男”と“被害妄想と嫉妬に狂う男”。そんな二人のダメでさえない人生からの大逆転を描く、笑いと涙のエンターテインメント。

今期最高に面白いドラマはこれ。構造は実は非常にシンプル。ナレーションでは全否定しているが、これは間違いなく青春モノであり、サクセスストーリーであり、人生賛歌である。たしかにお笑いの世界の、決して派手では無いオードリーと南海キャンディーズを持ってくるあたりはニッチではある。だが、作り手側の情熱は、半端なくある。