【TVドラマ】2023秋（10月開始）ドラマ鑑賞後感想メモ

2023年10月開始ドラマの感想メモである。
最後まで見たドラマは今季は７作品であった。

先んじてドラマ開始前時点でリストアップしているが、

ここでは原則として最終話まで観たものをピックアップしており、途中離脱したものは除いてある。

2023年7月開始ドラマのレビューはこちら。

2023年4月開始ドラマのレビューはこちら。

『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』

2023年10月9日スタート　毎週月曜夜9:00-9:54／フジテレビ系
二宮和也、中谷美紀、大沢たかおのトリプル主演で、聖夜という“たった1日”の出来事を1クールかけて描く謎と愛と奇跡の物語。主人公は別々の人生を歩んできた逃亡犯、孤高のシェフ、報道キャスターである3人の男女。関わりのない3人の人生が同時並行で進み、次第に運命が交錯していく。脚本は徳永友一が担当。
【公式サイト】

【予告編】

なんだかんだ最後まで見てしまった。
最後まで見たけれどやっぱり面白くはなかった。
なぜ面白くなかったのか。
やはり次の展開がどうなるかハラハラする、という要素がほぼなかったからではないだろうか。
次の展開が読めたというわけではないが、ハラハラはしなかった。
どう展開しても、ああそうなんだ、そうなるんだ、という感想しか浮かばなかったのだ。
それはおそらくキャラクターに共感できる要素がまるでなかったからではないだろうか。
記憶喪失の男、殺人をしたかもしれないという状況、地方テレビ局のキャスター、老舗レストランのシェフ、どれをとっても身近でなくイメージしづらい上にあまりにも魅力がなかった。
キャラクターに共感するのはかなり難しいのだ。
だから見ていても、どこか他人事というか、テレビドラマなので他人事でもよいのだが、あまりにも遠い世界の話だと面白味は薄れてしまうのだった。

●火曜日

『「大奥」Season2』

2023年10月3日(火)スタート 総合 毎週火曜 よる10時／NHK
３代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還にいたるまで、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描いてセンセーションを巻き起こしたよしながふみ作「大奥」。ジェンダー、権力、病など、現代社会が直面する課題を大胆な世界観で鮮やかに描いたこの傑作コミックを原作に、NHKでは３代将軍家光から８代将軍吉宗までの物語をドラマ化し、ドラマ10にて今年の１月期にて放送しました。そして2023年秋、吉宗の遺志を継ぎ若き医師たちが『赤面疱瘡』撲滅に向けて立ち上がるその後の物語から、女将軍をはじめとした幕府の人々が、“江戸城無血開城”のために奔走した幕末・大政奉還の物語を初めて映像化します。
【参考サイト】


【予告編】
【大奥】Season2 予告編【10/3スタート】毎週(火)夜10時 | ドラマ10 | NHK – YouTube
シーズン2も素晴らしかった。
この男女逆転時代劇は「どの女優が将軍をやるのか」というシンプルな面白さが肝である。
だが、season2では脇を固める役者陣も意外で新鮮なキャスティングが光った。
医療編では、鈴木杏演じる平賀源内をはじめ、松平定信（安達祐実）田沼意次（松下奈緒）一橋治済（仲間由紀恵）という豪華ぶり。
幕末編では、福士蒼汰が胤篤・天璋院としてseason1に続いて登場。
岸井ゆきのの公家・和宮もはまっていた。
謎の疫病『赤面疱瘡』を克服したことで男女逆転の妙が薄れてしまったが、それでも男女という性差とは何か、そもそも区別する必要があることとないこととがないまぜになってはいないかという問いをこれでもかと突きつけてくるストーリーは、自分ごととして捉えたときにハッとさせられる内容でもあった。
NHKの時代劇のクオリティの高さを堪能できた作品だった。

●水曜日

休”観”日・・・

●木曜日

『いちばんすきな花』

2023年10月12日スタート　毎週木曜夜10:00-10:54／フジテレビ系
4人の俳優が主演を務める完全オリジナルドラマ。“男女の間に友情は成立するのか？”をテーマに、違う人生を歩んできた4人の男女が紡ぎ出す“友情”と“恋愛”、そしてそこで生まれるそのどちらとも違う“感情”を描く。脚本・生方美久ら「silent」(2022年)のスタッフが制作を担当。

【公式サイト】

【予告編】

生方美久脚本は裏切らない。
毎週リアタイするほどの熱量を最後まで保ったまま見入った。
「生きづらさ」というワードが昨今はあまりに多く使われることによって軽い言葉になってしまっていると感じている。
本来はもっとセンシティブな意味合いを持った言葉だと思う。
本作はそうしたセンシティブすぎるかもしれない程の、一見ニッチな、それでいて誰にでも当てはまりそうなシチュエーションも含めたストーリーで「生きづらさ」を描いていたと思う。
その「生きづらさ」の正体はなんなのか。
毎週繰り広げられる、ほとんど大きな事件も出来事も起こらない中で、4人もの主人公が織りなす世界は、どこにでもありそうな、誰にでもありそうな世界だった。
ゆくえ、椿、夜夜、紅葉というちょっと周りに気を使いすぎて疲れてしまっている主人公たちが抱えるしんどさを、自分もどこかで感じていたかもしれない。
そのしんどさの根本にあるのは、他人からの価値観の決めつけにあったのかもしれない。
それはもはや「呪い」という感覚が近い。
男子はこういうものだから、長男はこういうものだから、学生はこういうものだから、ボランティアってこういうものだから、就職ってこういうものだから、社会人ってこういうものだから、仕事ってこういうものだから。
無数の「こういうものだから」という「呪い」を冷静に考えることなく鵜呑みにしてしまった結果、自分の中にある感覚とのズレに違和感を感じ、感じたままズルズルと時間が経って、気がついたら「なんか苦しい」という負の無限ループ。
そのループから抜け出すには、自分が世界を見る目線の角度を変えるしかないのだった。
人生においてどちらか「正解」というものはなく、だからこそどちらも冷静に選べる方が幸せに近いかもしれない。
「間違い探し」と見るか「答え合わせ」と見るか、それは「どっちでもいい」のだ。
最高のドラマだった。

●金曜日

『うちの弁護士は手がかかる』

2023年10月13日スタート　毎週金曜夜9:00‐9:54／フジテレビ系
ムロツヨシが主演、平手友梨奈が共演を務める育成型リーガルエンターテインメントドラマ。生きる希望を見失っていた元芸能マネジャー・蔵前勉(ムロ)がパラリーガルに転身。ポンコツ新人弁護士・天野杏(平手)を“法廷のスター”にすることを目指し、次第に互いを認め合い最強バディに成長していく姿を描く。
【公式サイト】

【予告編】

ムロツヨシと平手友梨奈というコンビをキャスティングした人が優勝案件である。
かなりかなり面白かった。
泣きも笑いも感動もあって、最後にはスカッと気分が良くなる、連続テレビドラマの鏡のようなドラマ。
途中に挟まれる「テレビドラマボケ」が最初は失笑に近い雰囲気だったのに、回を追うごとにもっと欲しくなり、ついには何が出たかをチェックまでしてしまうという、まんまと脚本家の手の上で転がされてしまったのだった。
「誰かを支える仕事」にスポットを当てた点も、これまでのドラマにはなかった視点で好感が持てた。
いわゆる「お仕事もの」と捉えることもできるが、本質はそこではない。
頑張っている誰かを支える誰か、という普段は日の当たらない人に光を当てることによって、より多くの視聴者を引き込んでいたと思う。
どんなに優れた人であっても、誰にでもできるような仕事をしている人によって支えられている、という当たり前の事実を、当たり前なんだと胸を張って言うのは、実は簡単ではない。
だがそれを真正面から取り組んだ本作は、非常に価値がある。
絶対続編やれ、フジテレビ。

●土曜日

『ゼイチョー〜「払えない」にはワケがある〜』

2023年10月14日スタート　毎週土曜夜10:00-10:54／日本テレビ系
慎結の漫画「ゼイチョー！〜納税課第三収納係〜」を菊池風磨主演でドラマ化。菊池演じる饗庭は、市役所納税課で滞納されている税金を納めてもらうように促す徴税吏員として働く公務員。饗庭は、滞納せざるを得ない“払えないワケ”を持つ市民の事情に寄り添い、救う方法を模索していく。
【公式サイト】

【予告編】

なんだかんだで見てしまったタイプのドラマ。
お仕事ものはやっぱり見てしまう。
ほぼほぼ1話完結型でいつから見ても大丈夫であり、どれかを見逃してもなんとかついていける、無難なテレビドラマの基本に忠実な構成。
無難で面白みがないと言えばそれまでだが、安心感と安定感はある。
菊池風磨は何をやっても菊池風磨だが、まだ今はそれでいいと思う。
これだけ毎クールドラマに出ていて、同じような演技なのにそれなりにニーズがあるというのは稀有な存在だ。

●日曜日

『下剋上球児』

2023年10月15日スタート　毎週日曜夜9:00-9:54／TBS系
菊地高弘による同名ノンフィクション小説からインスピレーション受けて誕生した、ドリームヒューマンエンターテインメント。鈴木亮平演じる南雲脩司は、三重県立越山高校に赴任して3年目になる社会科教員。ひょんなことから廃部寸前の弱小野球部の顧問を担当することになると、南雲の日常は一変する。
【公式サイト】

【予告編】

毎週ハラハラドキドキしながら見た。
試合シーンでは点を取るたびにこちらまでガッツポーズになってしまう。
これまでの青春と根性の高校野球ドラマ、という要素だけでなく、大人のほろ苦い事情も絡み合ったとても面白いドラマだった。
さすが日曜劇場である。
『VIVANT』の後番組という最悪のタイミングを見事に跳ね除けた。
こうしたスポーツもの、しかも野球を題材としたドラマでキーとなるスタッフ（脚本、演出、プロデュース）が女性であったというのが、驚きでもあった（ジェンダーバイアスかかりまくりだが）。
脚本：奥寺佐渡子
プロデュース：新井順子
演出：塚原あゆ子
今年はWBCの大谷翔平の活躍もあって、一年中野球の話題に事欠かなかったが、その追い風も確かにあったに違いない。
やっぱり野球って面白い、と思わせてくれた最高のドラマだった。

『たとえあなたを忘れても』

2023年10月22日スタート　毎週日曜夜10:00／テレビ朝日系
夢を失った女性と、記憶を失った男性のヒューマンラブストーリー。堀田真由と萩原利久の共演、浅野妙子のオリジナル脚本で描く。堀田は、ピアニストになる夢に挫折し、東京から神戸に引っ越してきた河野美璃を、萩原は、記憶を失ってしまう障害を抱えながらも、キッチンカーを運営し懸命に生きる青木空を演じる。
【公式サイト】

【予告編】

堀田真由主演、ということで見た。
なんとか最後まで見た。
記憶もの、というジャンルがあるのかないのか、記憶喪失とかアルツハイマーで記憶が徐々になくなるとか、そういう系統にはちょっと弱いので見てしまう。
記憶というのはアイデンティティに直結しているので、記憶をなくすということはアイデンティティを失うに等しいわけで、そうなると通常はアイデンティティを取り戻すという行動をとるのだが、本作の主要人物である「そら」はそうした焦りが見られない。
また、主人公・美莉はそらと付き合うようになるが、ある日突然自分と付き合っていたことも忘れられてしまう。
そんなことを繰り返しているのに、なぜにあんなにそらのことが好きなのか、最後までそこは理解できなかった。
すき、に理由はないとはいうが、それにしても、である。
中盤でそらが記憶を取り戻すという急展開もあったが、なんとなく惰性で最後まで見ることになった、という感じ。