【BOOK】『理由』宮部みゆき:著 現代社会の落とし穴

東京都荒川区の超高層マンションの一室で起きた凄惨な殺人事件。
男女の死体と老婆の死体。そしてベランダから落下したと思われる若い男性の死体。
計4名の惨殺死体は、そのマンションの住人ではなかった・・・。
事件を中心に、膨大な数の関係者の証言をまとめた形で表現されるルポタージュの構成は、社会に潜む落とし穴を見事に浮かび上がらせる。
圧倒的な解像度で関係者間の関係性を活写する、極上のリアリティで綴られる大作。第120回直木三十五賞受賞作。

【BOOK】『ある男』平野啓一郎:著 人は他者によって自分を愛せる生き物

人は自分のことがわからない。自分以外の、例えば鏡などを用いないと自分の顔を見ることもできない。
自分を知るためには他者が必要で、他者と過ごした時間の濃密さによって自分自身の幸せの深さも得られるのではないだろうか。
だからこそ、我々は物語というフィクションを信じることで生き続けて来れたのだろう。
人間存在の根源に迫る一冊。

【BOOK】『同志少女よ敵を撃て』逢坂冬馬:著 真の敵は自分の内側にいる

主人公他、主要な登場人物の多くが女性であることは、大きな要素ではあるものの、本作のテーマのひとつの断面に過ぎない。
本作の根幹にあるのは、人はなぜ戦争をするのか、何のために戦うのか、正義とは何かといった人間が生きる上での根源的な問いに対する、著者のアンサーのひとつが記されている、ということだ。

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【BOOK】『火車』宮部みゆき:著 地獄へ運ばれるべきは誰なのか

本書が刊行されたのは1992年。
あらためて令和の時代に読んでみて、テーマの根深さは当時からずっと変わっていないことに驚きとともに感嘆した。

【BOOK】『ブラックボックス』砂川文次:著 見えない箱から抜け出した「成長」の物語

読んでいて、爽快感があるとか、この先の展開がどうなるのか気になる、といった作品ではない。
どちらかと言うと、鬱屈した人間の内面の葛藤や、なぜこんな気持ちになるのかがわからないけれど、溢れ出てしまう焦燥感を描写した作品だなと感じた。
そしてその苦悶の日々の先に、成長し、希望が見える作品でもあった。

【BOOK】『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』鈴木忠平:著 歴代最高の「野球人」の記録

「歴代最多の3回の三冠王」 「日本人初の1億円プレーヤー」 「優勝請負人」 落合博満を言い表す言葉はたくさんあるが、これだけでは落合博満という人間を表現するには全然足りない。 私は大の広島カープファンではあるが、歴代最高 …

【Audible】耳で読書する『Audible』を始めてみた 音声メディア沼にハマる!?

遅ればせながら、「Audible」を始めてみた。